超☆社会的サンダル×ポップしなないで 「今日がなんだか一番愛を感じた」強烈なエネルギーを生み出したツアーファイナル
約20分の転換を経て、青いTシャツのベースのふじお、赤いスーツに身を包んだドラムの林田翔馬、グレーのスーツのタケマスター、セーラー服姿のオニザワマシロが登場した。レッド・ホット・チリ・ペッパーズの「アラウンド・ザ・ワールド」のイントロを鳴り響かせたかと思うと、観客たちは前方に一気に密集。多くの手が天に向かって上がる中、「ほんとの明日」でライブがスタートした。パンキッシュな雰囲気と一転、キャッチーでメロディアスな楽曲だ。オニザワマシロのボーカルもどこかやわらかい。ささくれだったギターリフ。脇を支えるプレイヤーたちの演奏に浸る表情がとてもいい。 オニザワもギターを手に取り、「魚を追いかけて」へ。どこか哀愁を感じるギターリフとともに、時よりしゃがれ声になるオニザワのボーカルが耳にこびりつく。曲後半ではテンポが遅くなり深いリヴァーブに包まれる。そうしたアレンジの妙も光る。「東京には人が多くいて。シティガールってどんな子のことか知ってますか? 私みたいに東京生まれ、東京育ちのキュートな女の子を言うんじゃなく、東京に染まった、東京が似合う、それはそれはかわいい女の子のことを言うらしいですよ」と「City Girl」を披露。 オニザワがチューニングしている最中、タケマスターがMCで、「面白いこと言えないですけど、率直にうれしいです。ありがとうございます」と感謝を伝えた。そして「ツアータイトルを言えるか?」と振られたタケマスターは、メンバーの助けを借りながらたどたどしく語り笑いを誘った。オニザワが「もし魔法が使えたなら、みんなが私のことをずっと好きでいてくれたらいいのに、と思って作った新曲をやります」と「チチンプイプイ」へ。ミドルテンポに耳心地のいいギターリフで始まり、疾走感あるテンポへ移り変わり、時より叫ぶように歌うオニザワ。続けて、ギター、ベース、ドラムのアンサンブルが心地いいギターポップ曲「17」へ。アウトロではタケマスターがステージ前の柵に登りながらギターをかき鳴らす。ふじおのベースから始まった「空車」では、観客たちが手をステージに向けて振り上げた。 MCで林田が、「ただ音楽をやるためにツアーを回ってきたわけじゃなく、水を売るために回ってきました。今日もこのあとオニザワ先生がお祈りをしたら水が登場するので」と語ると暗転し、ライトが点灯する中、オニザワがおまじないをかけると『生命水』が登場。「本当は5,800円だけど、税込5,000円です」と宣伝すると、「あくまでおまけですけど、Tシャツついてます」と照れくさそうにふじおが補足した。 オニザワは、「やっとひとりぼっちじゃなくなりました。それは、みなさんがいるから」と観客に向けて語ると、久しぶりの披露となる「うさぎちゃん」へ。「きみはうさぎちゃん イマジナリーフレンドー」というサビのリフレインが印象的なギターロックだ。続けて「熱中症」を歌うと、「あなたたちの大嫌いなあの子に向けて歌います」と新曲の「バカマンコあかり」へ。オニザワとふじおが背中あわせにギターを弾くシーンも見受けられるなど、強烈なエナジーを生み出した。 再びのMCではオニザワがメンバーに1回楽器を置いてと伝え、『生命水』が150本くらい残っていること、水を5,800円で売ろうとタイトルを決め、大人からぼったくりだと指摘を受け、ツアー限定5,000円にしたが、それでも全然売れなかったことを告白。5年後メルカリで高くなると思うのでと、4人で土下座でお願いするチャーミングな姿も見せた。 そして、8月1日(木)20時に「熱中症」のMVが公開されることを発表すると、フロアから声援が沸き起こった。 オニザワは「私はあなたたちがいなくなったら死んでしまうと思います。きれいごととかじゃないです。ずっと両思いでいたいから、嫌いにならないでね。ひとりぼっちだと思ったら私のことを思い出して」と、オニザワのギター弾き語りからはじまる抒情的な超大曲「フランス料理」へ。オニザワはクラウドサーフし、フロアで歌ったあとにステージへ戻ると、代表曲「可愛いユナちゃん」へ。サビでは、観客とメンバーが全力で「可愛いユナちゃん」と叫んだ。「この歌を作ってしまったがために、私は同窓会に行けなくなりました。ユナちゃんは人気ものだから。でも、同窓会にも行かなくていいと思えるくらい、みんなから愛されていることを知っています。私のこと好きでしょ?」と観客に語りかけると、「大好き!」という声がオニザワにかけられた。「泣いちゃう」とオニザワが感慨深く言うと、マイクを客席に向け、再びサビを大合唱し、「大好き」と伝え、4人はステージを後にした。 観客たちのアンコールに応えて、再登場した4人。オニザワは、「今日がなんだか一番愛を感じた気がします。酔っ払っているので涙がでそう」と感無量になりながら、「本当は17歳でもないし、本当は水なんて効果ない! 本当にありがとう。いつまでも垢抜けないバカな私のままで」と、この日2回目となる「17」を全力で演奏。最後は「アイラブユー」と愛を観客たちに伝えて、超☆社会的サンダルの初東名阪ツアーは幕を閉じた。 不器用だけれど真っ直ぐで、愛情に飢えているけれどたくさんの愛情に包まれている超☆社会的サンダル。そんな相反する性格や感情が、ぐちゃぐちゃになりながらも強烈なエネルギーを生み出した、剥き出しのツアーファイナルだった。 Text:西澤裕郎 <公演情報> 『超☆入神‼誰でも幸せになれる!?「生命水」今なら何と一本5,800円(税抜)!!ツアー』 2024年7月30日 東京・新代田 FEVER 出演:超☆社会的サンダル/ポップしなないで 【セットリスト】 ポップしなないで 01.ローリングソウル・ハッピーデイズ 02.白昼きみとドロン 03.メデューサ 04.魔法使いのマキちゃん 05.Creation 06.ロケットダンサー 07.救われ升 08.魔法様 09.暴露 10.夢見る熱帯夜 超☆社会的サンダル 01.ほんとの明日 02.魚を追いかけて 03.City Girl 04.チチンプイプイ(新曲) 05.17 06.空車 07.うさぎちゃん 08.熱中症 09.バカマンコあかり(新曲) 10.フランス料理 11.可愛いユナちゃん EN.17