JAXA以外で唯一、月探査機運用機能を持つパラボラアンテナを福井工業大学が新設 福井県あわら市、来年度打ち上げ予定の探査機で活用へ
宇宙事業に取り組む福井工業大学は、月探査機の運用支援を目的とするパラボラアンテナを福井県あわら市北潟の同大あわらキャンパスに新設し6月1日、披露した。月探査機運用機能を持つアンテナは国内では宇宙航空研究開発機構(JAXA)以外で唯一。来年度にJAXAが打ち上げ予定の探査機「DESTINY+」(デスティニー・プラス)で軌道予測やデータの送受信に活用される。 同大は宇宙産業の拡大に注目し2000年に完成した直径10メートルのアンテナを始め、2・4メートル、3・9メートルのアンテナをあわらキャンパスに設置した。3基は地球周回衛星のデータ受信などをメインとしている。 4基目となる今回のアンテナは3月に完成した。ドイツ製で直径13・5メートル、高さ約20メートル。地球から約38万キロ離れた月周回軌道での運用支援ができる。 JAXAと共同研究契約を結ぶ同大によると、JAXAのアンテナは惑星探査機の運用を主目的とする大きなものが多いため「月探査にはオーバースペック(過剰な仕様)」だという。小さいアンテナは感度の範囲が広く、探査機を見失いにくい。「デスティニー・プラス」は高頻度の軌道制御が想定されるため、確実な探査機の捕捉が求められるという。 この日、杉本達治知事ら約150人が訪れた。掛下知行学長は「月に思いを持つ人とネットワークをつくり、地上局として日本、世界のために使命を果たしたい」と述べた。宇宙飛行士の毛利衛さんの特別講演も行われた。
福井新聞社