性行為の低年齢化はなぜ起こっている? その背後に見える 「親子の問題」
問題行動を起こす子どもたちが欲しているもの
十分な愛情を与えられず、満たされない性衝動を抱えた子どもは、仕方なく自分で自分を満たそうとします。それが、性器いじりというひとつの行動に出ているのです。愛情不足のあらわれのひとつなのですね。 そして、愛情不足のまま成長した子は、思春期を迎える頃になり、その蓄積された欲求不満がさまざまな問題となってあらわれることがあります。 今、全国の保育園、幼稚園の子どもたちに起こっている問題と、10代の子どもたちに起きている問題とは、本質的には同じです。 つまり、早熟な性行動、いじめや不登校、非行など思春期の問題は、愛されていないことへの反発である場合が多いのです。リビドーは本来、人との関係で満たされていくものです。子どもにとってリビドーを満たすいちばんのものは、ほかでもない、親の愛情です。 幼いころにお母さんお父さんの愛情を求めて、それが満たされなかった子どもほど、思春期になってつまずくケースが多いように感じます。子どもがおかしいなと感じたら、それは「愛されたい」「大切にしてほしい」というサインです。今からでも遅くはありません。だまって抱きしめてあげてください。 あなたのことを大切に思っているという気持ちで、そばにいてあげてください。静かに見守ってあげてください。ただそれだけで十分です。あなたの愛情は、きっと伝わります。そうして、たくさんの愛情で子どもたちを満たしてあげてほしいと思うのです。 【まとめ】非行や不登校など、今、思春期の子どもたちの間で広がっている問題は、「もっと愛されたい」という子どもの叫びです。
性行為の低年齢化は早熟だからではない
リビドーが満足に満たされない子どもが増えているといいました。子どもが成長するのに最も大切な、「自分は愛されているんだ」「大切に思われているんだ」という自己肯定感、安心感が足りないのです。 小さな子どもは、おんぶや抱っこなどのスキンシップや、ご飯を食べさせてあげたり、お風呂にゆっくり入れてあげたり、添い寝をしたり、あやしてあげたりといったことに、惜しみない時間と愛情を注いであげることで、自己肯定感が育まれます。 「お母さんはこんなにぼくのことを大事にしてくれるんだ」という実感が、自分のことを好きになれるいちばんの栄養なのです。 ところが、こうしたことが十分に満たされないまま大きくなった子のなかには、思春期の早い時期から異性の友人とすぐに性的な関係になってしまう子が少なくありません。 全国幼小中高性教育研究会が2002年、高校生を対象に性の行動に関する調査研究をしました。結果は、地域差と男女差はあまりなく、高校3年生を対象にした調査では、男女ともにおよそ40%の子が性の経験をもっていることがわかりました。 この数字をどう思われますか。「今の子どもは早熟だ」と感じるかもしれません。しかし、私はそうは思いません。むしろその逆、未熟だからこそ、安易で軽はずみな行動に走ってしまうのではないかと思っています。