新型日産フェアレディZ NISMOの走りは何が違う!? “プラス400万円”の意味を最速試乗で考えた!!!
走りの質が違う
続いてフツウのZとZ NISMOのスペックを比較すると、エンジンの最高出力は405psから420psへ、最大トルクは475Nmから520Nmへと、それぞれ引き上げられている。これらは主にターボブースト圧制御の見直しと、GT-R NISMOで開発した気筒別点火時期制御によって実現したという。 今回は2台を直接比較したわけではないので、絶対的なパワーやトルクの差までは感じなかったが、回転フィールの滑らかさやトップエンド(7000rpmまでまわる)でのシャープな吹き上がり方などは、たしかにノーマルのZでは感じられなかったレベルに仕上がっている。現行世代のZはエンジンの現代的なフィーリングが最大の魅力と思っていたけれど、その領域がさらに進化した格好だ。 足まわりの印象も、より現代的で質感が高まったように感じた。 正直、現行世代にモデルチェンジしても、ボディの微妙な緩さが足まわりの動き方に微妙な影響を与えているようで、あまりしゃきっとしているようには思えなかったのだけれど、Z NISMOはそもそもボディのしっかり感が増しているうえ、これを土台とするサスペンションもより確実で節度のある感触を伝えるようになった。 たとえば、市街地を低速域で走っている状態では、ゴツゴツ感を極力打ち消しながら、ボディもできるだけフラットに保とうとしていて、なかなかうまいバランスであると感じた。ただし、走り始めて少し時間が経つと、低速域ではフワフワとしたボディの上下動を抑え切れていない部分もあって、ダンピングが不足している気がしなくもなかった。 でも、そうした上下動はスピードを上げるとすっと消えていくので、心配は無用。たとえば高速クルージングではなかなか快適な乗り味が楽しめるだろう。 今回は時間の都合でワインディングロードには連れ出せなかったけれど、個人的にフェアレディZはロングツーリング向きのスポーティカーであると思っているので、Z NISMOにもそうした特質がうまく引き継がれているのが確認できたのは嬉しい発見だった。しかも、ボディにしてもサスペンションにしてもエンジンにしても、ノーマルZよりも確実にクオリティが向上している。あとはベースグレードとの400万円近い価格差をどう捉えるか。 きっと、走りの質の違いに敏感なNISMOファンであれば、Z NISMOに激しく惹かれるだろう。
文・大谷達也 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)