パリ五輪で2連覇「何もかもがうまくいった」 柔道の阿部一二三語る「きょうだい物語はシーズン3」
柔道男子66キロ級の阿部一二三(パーク24)は今夏のパリ五輪を圧倒的な強さで制し、鮮烈な印象を残した。女子52キロ級でそろって2連覇を目指した妹の阿部詩(パーク24)が2回戦で敗退する衝撃にも動じず、王座を堅持。心身を研ぎ澄ませて自らを磨いた日々を振り返るとともに、4年後のロサンゼルス五輪での3連覇に向けた意欲を語った。(聞き手 共同通信=村形勘樹) 【写真】「実は競技中に…」やり投げ金メダル・北口榛花選手が偉業達成の裏で感じていた異変 緊張、悔しさ、反響、そして今後。パリ五輪を終えた思いを語る
―パリ五輪では見事な闘いを披露した。 「いろんなことが起こったけれども、自分のやってきたことが出せた大会だった。イレギュラーな事態も想定しながら準備し、何もかもがうまくいった」 ―大会後はどんな心境で過ごしてきたか。 「今は少し気が抜けているというか、リラックスしている。でも気持ちはもう4年後のロスに向いている」 ―進化を示せた部分はどこか。 「気持ちの部分。妹が負けてもぶれずに優勝できた。柔道の面では足技。東京五輪後からずっとテーマに掲げて磨き、パリでもポイントを取れた。本当に心技体で成長を実感できた」 ―近年は栄養管理の取り組みも充実していた。 「食べるもの一つで試合当日の状況は全く変わる。支援を受ける味の素ビクトリープロジェクトのスタッフの方から、どのタイミングで何を摂取するかなど信頼できる助言があり、柔道のことだけに集中できた。それはすごく大きかった」 ―どういう場面で効果を感じたか。
「自分一人だと『今これを食べないといけないのかな』とか『このタイミングでこのゼリーを飲んでいいのかな』など、前日からたくさん考えることがあった。今はしっかりと用意してもらい、楽な気持ちで試合に臨めている。すごく信頼している」 ―減量期は買い物をして自炊する。 「栄養の知識も学び、商品の量や栄養素を見て、カロリー計算しながら買っている。計算は絶対にグラム単位。減量中はご飯もお肉も食べる量は決まっているので、その方が楽ではある。それだけ正確にやるようになったのは、(2020年12月の)東京五輪代表決定戦の前ぐらいからかな」 ―普段の生活からやるべきことを徹底する姿勢と、勝負に対する心構えは関係があるか。 「すごくつながっていると思う。やっぱりそういうことをきっちりしていれば『日常からこれだけやっているんだ』と、柔道に自信が持てるようになってくる」 ―東京五輪後は重圧を感じていたか。