『オクラ』脚本・武藤将吾、新世代との制作で見いだした令和ドラマの価値観「“いかに共感を呼ぶか”というところにシフトチェンジしている点はすごく興味深かった」
反町隆史と杉野遥亮がW主演を務める『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(フジテレビ系 毎週火曜 午後9時~9時54分)で脚本を手掛ける武藤将吾に制作の裏側について聞いた。 【写真】『オクラ~迷宮入り事件捜査~』ポスタービジュアル 本作は反町隆史演じる人情に厚く“捜査は足で稼ぐ”がモットーの昭和刑事・飛鷹千寿と、杉野遥亮演じるクールでタイパ重視の省エネな令和刑事・不破利己のジェネレーションギャップバディが、長期に渡って未解決となっている実質“オクラ(お蔵入り)”状態の事件に挑むヒューマンミステリーエンターテインメント。 完全オリジナルストーリーとなる本作の脚本は『電車男』(2005年/フジテレビ系)、『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』(2007年/フジテレビ系)、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(2019年/日本テレビ系)などのヒット作を手掛けた武藤将吾が担当している。 武藤は刑事ドラマについて「僕は元々『あぶない刑事』などで知られる柏原(寛司)さんに仕事を教わっていました。刑事ドラマをやりたくて脚本家になったと言っても過言ではなく、拳銃などのアクションを使えるところに魅力を感じていましたし“非現実的な世界を手がけたい”という思いがありました」と。 そんな武藤だが、本作は執筆する上で「セーフかなしか、確認しながら細かく決めている」という。「今作のプロデューサーの足立(遼太朗)君、柳沢(凌介)チーフ監督の若い2人が、拳銃を発砲するシーンに引いていたんです。理由を聞いてみると『拳銃を出すと“作劇だな”と感じて、共感できなくなっちゃうんです』とのことで。僕が刑事ドラマの醍醐味だと思っていた要素が、彼らからしてみればリアリティのなさに直結してしまうということでショックを受けました。でも、まずはリアリティをもって刑事ドラマを成立させた上で、やりたい世界観を表現する。それは大きな枷でもあるけれど、逆に面白いなと思いました」。 以来、意識しているのは“線引き”だそう。「第2話には利己が千寿に拳銃を向けるシーンがありました。それについては『出すぐらいならいいです』と言われて(笑)。10年前の千寿が刑事の結城(真一)に発砲するシーンについては『10年前だからOK』とのことでした。そうして彼らの線引きを探りながら、若い世代の人にとってどこまでをもってリアリティが存在するのかを推し測って書いています。第1、2話がオーソドックスに作られたのはそのたまものじゃないかなと。僕らの世代のドラマでは非日常を楽しむところ、“いかに共感を呼ぶか”というところにシフトチェンジしている点はすごく興味深かったですし、僕にとってもすごく参考になりました」と語った。
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