『真・女神転生V Vengeance』は序盤から新展開の兆し! 新キャラ「ヨーコ」もパーティ参戦─fps設定にどこでもセーブなど、利便性も向上【先行プレイレポ】
「悪魔」と呼ばれる異質な存在に関わった人々のドラマや、その戦いを通して左右される世界の命運を描く『真・女神転生』シリーズは、骨太な世界観や戦略性の高いバトルシステム、悪魔を「仲魔」とするユニークなゲーム性などが好評を博し、コアなゲームファンを中心に長年愛され続けています。 【画像】新キャラ「ヨーコ」によって、物語も変化! 本シリーズから派生した作品も数多く、その影響力は広範囲に及んでいますが、一方でナンバリング展開は乱発せず、記念すべき1作目『真・女神転生』(1992年発売)から30年以上の歴史を重ね、現時点では『真・女神転生V』が家庭用向けのナンバリング最新作です。 『真・女神転生III NOCTURNE』のマニアクス版がリリースされたり、『真・女神転生IV』の続編となる『真・女神転生IV FINAL』が登場していたりと、ナンバリング数以上の展開を行っていますが、多発せずにそれぞれ腰を据えて作られているのが窺えます。 そんな本シリーズの新たな動きとして、『真・女神転生V』(以下、無印版)をベースにした『真・女神転生V Vengeance』が2024年6月14日に発売されます。本作は、ストーリーから悪魔まで様々な追加要素を備えており、ニンテンドースイッチだけでなくPS5やPS4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam、Windows)にも展開。無印版よりも格段にアクセスしやすい形で提供されます。 環境的に遊びやすくなったため、この『真・女神転生V Vengeance』に興味を抱く方も多いことでしょう。本作の発売日はまだ少し先ですが、先駆けてプレイする機会に恵まれたので、この体験レポートを参考にし、本作をプレイするかご検討ください。なお、今回プレイしたのはPC(Steam)版となります。 ■無印版の魅力を継承する『真・女神転生V Vengeance』 本シリーズのナンバリング作品は、前述の『真・女神転生IV』『真・女神転生IV FINAL』のみ例外ですが、ストーリー面の直接的な繋がりはなく、シリーズ未経験者でもなんら問題なく楽しめます。それは、『真・女神転生V Vengeance』も同様です。 本作では、悪魔に対抗し得る力を持つ「ナホビノ」に変異した主人公となり、会話を通して悪魔を「仲魔」にしつつ、世界を揺るがす壮大な戦いに身を投じます。そしてプレイヤーの行動に合わせて物語は分岐し、その結末も大きく変わっていきます。 ちなみに無印版では「創世の女神篇」と呼ばれるストーリーが展開し、その中で物語が分岐しましたが、『真・女神転生V Vengeance』では「創世の女神篇」だけでなく、並び立つ新ストーリー「復讐の女神篇」が追加されます。 また本作の戦闘システムは、『真・女神転生V』の基本を受け継いでおり、ターン制のコマンドバトルを引き続き採用しています。敵の弱点を突くと、行動回数が増える「プレスターン」も続投。このシステムのおかげで、「初見の敵の弱点を模索する緊張感」や「弱点を意識して組み立てる戦略性」が生まれ、ターン制コマンドバトルに心地よい刺激が加わります。 このほかにも、戦闘中に行う交渉「悪魔会話」で敵を味方(仲魔)に引き入れたり、仲魔同士を合体させて新たな仲魔を生み出す「悪魔合体」を楽しめたりと、本シリーズならではの魅力も健在です。すでに好評を博している無印版からの継承なので、基本的な部分に不安がないのも『真・女神転生V Vengeance』の嬉しい点です。 ■経験者も新鮮な気持ちで楽しめる! 序盤から訪れる新展開の数々 ここからは、『真・女神転生V Vengeance』で追加された新要素を中心に、そのプレイ感や手応えについて実体験をもとにお伝えします。 まず本作の目玉と言える「復讐の女神篇」について、事前の告知では「中盤以降から物語が大きく分岐する」と報じられたため、そこまでは全く同じなのかなと受け止めた人も多いことでしょう。 ですが、大きな分岐を迎えるのが中盤以降というだけで、変化は序盤からたびたび垣間見せてくれます。そもそも、「創世の女神篇」と「復讐の女神篇」のどちらに進むのかを決める選択肢が、オープニング終了直後という最速のタイミングで訪れるのです。 まだ事情も何も分からない頃に、「存在の許されぬ魂」として封印されている少女の手を取るかどうかという、かなり重要な選択を容赦なく突きつけてくるあたり、『真・女神転生』らしさを感じます。 ここで少女の手を取ると、「復讐の女神篇」のルートに移行。そこから中盤までの基本的な展開は「創世の女神篇」と同様ですが、駅が封鎖された際に謎めいた女性を見かけるなど、「創世の女神篇」にはなかったシーンや要素があちこちに見受けられます。 特に大きな変化は、異変が起きた後、山手線と思われる車両の前で同じ学校の生徒「ユヅル」と再会する場面。無印版ではユヅルと顔を合わせ、状況の確認などが行われました。 その流れ自体は本作も同様ですが、会話だけで終わることなく、悪魔「グラシャラボラス」の強襲を受けます。しかし、不利な話ばかりではありません。悪魔召喚プログラムを持つユヅルも戦いに加わるほか、魔法を駆使する「ヨーコ」の登場および参戦も行われました。 ここでのバトルはさほど難しくはなく、「グラシャラボラス」の顔見せといったところ。むしろ、悪魔を使役するユヅルや、ジオやアギを使いこなすヨーコと一緒に戦う感覚に興奮を覚えました。こうした新展開を最序盤から味わえるのは、喜ばしい誤算です。 しかもヨーコは、ゲストキャラという扱いですが、その後もパーティに加わり、魔法による攻撃やHP回復などで主人公らをサポート。ほかの仲魔と同様、戦闘に参加できますし、後述の「悪魔の裏庭」にも登場します。 序盤から、物語的にもゲームプレイ的にも新たなエッセンスが加わるので、無印版をプレイ済みの人も新鮮な気持ちで「復讐の女神篇」を楽しめるはず。特にヨーコの参戦は、個人的にも嬉しいサプライズでした。 ■悪魔関連にバトル、探索の新要素も見逃せない! 新鮮な体験は、ヨーコの登場やゲストキャラの参戦だけではありません。前述の「グラシャラボラス」をはじめ、無印版にはいなかった追加の悪魔が、序盤から終盤まで万遍なく用意されています。 グラシャラボラスとは今後も出くわしますし、序盤だけでも「グレムリン」や「チョトンダ」といった追加悪魔がフィールドを闊歩。筆者のプレイでは、「チョトンダ」は遭遇よりも悪魔合体での出会いが先でしたが、戦力的にも頼りになる存在で、戦闘面でずいぶん助けてもらいました。 また、悪魔とより深いコミュニケーションが可能になる「悪魔の裏庭」が本作に実装されました。これは、プレイヤーが所持している仲魔たちが、フィールド上に姿を現す特別な場所のことです。 「悪魔の裏庭」には、条件を満たすことで特別な会話が発生し、アイテムがもらえたり、仲魔が成長したりするといった要素があります。また、特定のアイテムを貢ぐことで、狙った仲魔から好感を得ることが可能です。 「悪魔の裏庭」では交流だけでなく、「フリーカメラ」機能も楽しめます。無印版だと、仲魔たちを撮影できる機会が限られていましたが、フリーカメラなら遠近に俯瞰、回り込みなど自由自在。カメラの自由度自体はかなり高く、主人公の位置に関わらず、「悪魔の裏庭」全体を幅広く移動できます。 バトルシステム自体は無印版の時点で完成されているため、基本的にはそのままです。ただし、いくつかの新要素もあり、その中でも見逃せないのが「ユニークスキル」の存在です。 これは、条件によって自動的に発動する効果のことで、例えば特定条件下における威力上昇や自身の能力強化など、様々な種類が用意されています。 ユニークスキルは、既存のものも含めた全ての悪魔(主人公やヨーコなども含む)に用意されているので、こちらも序盤から楽しめる新要素です。中には、悪魔会話で悪魔の機嫌を損ねた際、割り込んで仲を取り持ってくれる「悪魔の仲立ち」というユニークスキルも。悪魔会話の機会は多いので、この手助けは実にありがたいところです。 フィールドにも変化が訪れており、「マガツロ」と呼ばれる移動手段が追加されました。これは、特定の2点間を繋ぎ、高速で移動できる道のこと。フィールド上の移動を補助してくれる要素ですが、この「マガツロ」を使って無印版にはなかったエリアに行くこともできます。 エリアといっても広大なものではなく、従来のマップに追加される形ですが、見慣れた場所に新たな探索範囲を見つけると心が湧き立つのも事実。「グレムリン」や「チョトンダ」とはそこで遭遇したので、新悪魔の何体かは追加されたエリアに集中して配置されているのかもしれません。 追加エリアは「マガツロ」経由で行けるので、発見するのは容易ですが、新機能の「雲上視界」を使えば更に見つけやすくなります。「雲上視界」とは、ミニマップと全体マップの中間的な存在で、自分がいる場所とその周辺を航空写真のような見た目で描写してくれます。 真上からの視点なので位置関係が分かりやすく、全体マップよりも詳細に描かれており、各種アイコンも地図上に記載。周囲の地形や、どこへ行けば何があるのか、一目瞭然で分かるので非常に便利です。「雲上視界」のおかげで、今回のプレイでも探索がかなり捗りました。 このほかにも、戦局の一変も可能な「マガツヒスキル」が50種以上増えたり、無印版のダウンロードコンテンツも収録されていたりと、『真・女神転生V Vengeance』は単なるシナリオ追加に収まらない大きな進化を遂げています。 ■快適度も上がり、プレイ体験が一段上がった『真・女神転生V Vengeance』 最後に、物語やバトル関連ではない、プレイ感に関わる変更点や実感をお伝えします。まずグラフィックですが、ベースとなる部分は無印版と大きな違いはないものの、受ける印象はより美しく感じます。 これは描画の違いだけではなく、フレームレート(fps)も影響しているのでしょう。今回プレイしたPC版では、フレームレートの調整も可能で、「30」「60」「90」「120」「144」「無制限」から選べます。ここは自身が使っているPCのスペックに合わせて設定しましょう。十分な性能を有していれば、小さからぬ恩恵を得られるはずです。 こちらもスペックで差が出る部分かもしれませんが、ロード時間も全体的に快適でした。元々無印版も、ロードが煩わしいといったゲームではなかったものの、快適度が上がって困ることはありません。 しかも、無印版では「龍穴」でセーブを行っていましたが、本作では「龍穴」以外の場所でもセーブが可能に。フィールド上なら任意で行えるので、強敵と戦う前やイベントを進める直前などでセーブしておけば、万が一の時もやり直せます。 本作はフィールドが広く、実際に移動する機会も多めです。ダッシュがかなり速いので移動自体はストレスになりませんが、PCスペックに合わせたフレームレートの設定や、場所を選ばないセーブ、(これもPC性能による恩恵かもしれませんが)ロード時間の短縮などが加わったことで、遊びやすさが一段階上がったように思います。 プレイの快適度が増し、より一層遊びやすく生まれ変わった『真・女神転生V Vengeance』。新規ユーザーはいずれも新鮮に楽しめますし、シナリオ2本分でボリューム満点。無印版経験者も新要素を序盤から早々に味わえるため、双方にお勧めしやすい作品に仕上がっていると感じました。2024年の初夏、悪魔と踊ってみてはいかがですか。 (C)ATLUS. (C)SEGA.
インサイド 臥待 弦
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