イラン大統領代行は元経済組織責任者、最高指導者の後継レース混とん
(ブルームバーグ): イランは事実上のナンバー2だったライシ大統領が急死し、取って代わるのは最終的に誰になるのか世界の注目を集めそうだ。
イランのライシ大統領が死亡、ヘリ墜落事故-後継者に注目集まる
大統領代行は当面、2021年から第1副大統領を務めてきたモフベル氏が担う。問題は大統領の代理で終わるのか、より大きな役割を確保するようになるのかだ。
モフベル氏(68)は、あらゆる重要な決定事項に責任を持つ最高指導者のハメネイ師に近いとみられている。
イランの新たな大統領を選ぶ選挙は50日以内に行われる見通しだが、これを組織する3人から成る評議会をモフベル氏は率いる。イラン憲法に従うと、一方で同氏は「大統領の権限と機能」を持つことになる。
次の展開がどうなるのかは定かではない。7月までの実施が義務づけられるであろう大統領選の候補には、正式な大統領への就任を目指して恐らくモフベル氏が名を連ねることになるだろう。
政府プロジェクトの落成式に出席するため国内各地を定期的に視察する以外では、モフベル氏は最近、ウクライナ侵攻後のロシアとの交渉を率いるイラン側高官の1人として脚光を浴びた。同氏はロシアへの兵器供給取引をまとめるためモスクワを訪問したと報じられている。
ライシ氏の死去は、最高指導者であるハメネイ師の後継レースに大きな影響を及ぼす可能性が高い。ライシ氏はハメネイ氏の息子であるモジタバ氏と並んで、後継候補の最右翼とみられてきた。モジタバ氏にとっては今や、最大のライバルが消えた格好になる。
だが、1979年に王制を打倒して現在のイスラム体制が誕生した経緯があるだけに、世襲に対するイランの姿勢は複雑だ。
最高指導者の地位に就くには高位のイスラム聖職者でなければならず、モフベル氏のような世俗の政治家は候補から外されるのが通例だ。ライシ氏はモジタバ氏と同じく経験に富む神学者で、そこから司法長官と大統領を歴任した。