心を揺さぶる、声の饗宴「スプーンの盾」声優・山口勝平と諏訪部順一が語る、観客の想像の翼を広げる“生”の力
――VOICARIONシリーズは、脚本にナレーションがなく、セリフの言い回しも特徴的です。一般的な朗読劇とは異なる魅力があるからこそ、楽しみ方が分かった時に、より深く作品に没入できるように思います。 諏訪部 「観客の皆さまを物語の世界に誘うための『呼び水』として、豪華な衣装や舞台美術、照明や特効などの演出を取り入れていますが、物語が完成するのはお一人お一人の頭の中、心の中。想像力を大いに刺激する舞台です。実際に演者が動いて演じているわけではありませんが、『情景が映像のように見えました』というご感想をたくさんいただきます」 山口 「そうそう」 諏訪部 「演者として、そのようなご感想は本当にうれしいですね。我々が紡いだ物語に、それだけ没入してくださったということですから。VOICARIONに触れたお客さまの想像の翼は、どんどん大きくなっているようです。それが円滑に日々の生活を送るための一助となるようなことがあれば幸いです」 山口 「声や音だけでイメージを視聴者に与える朗読劇は、役者の作業の中でも特殊な分野です。でも、肉体的な動きを伴わずに、体の動きや感情の動きを声で表現することは、僕たち声優の元来の仕事。そういう意味でも、VOICARIONシリーズは声のエンターテインメントとして、すごく適しているのかもしれません」 諏訪部 「声優が行う声の演技には、言葉や心情だけでなく、さまざまな物理情報などものっています。プロの声優が日常的に行っている立体的な表現を、ライブパフォーマンスとしてお届けすることができるのが朗読劇ではないかと。相性が良いのは当然といえば当然ですね(笑)」 ――シンプルな朗読劇とは異なり、生演奏、豪華な舞台演出、そして総勢51名によるその日限りのパフォーマンスを生で体感できる…とてもぜいたくな舞台だと思います。 諏訪部 「毎日がんばっている自分へのご褒美として、日常とは違う時間や空間を楽しむ…。そういう、『ハレ』の日という気分でご来場くださる方も多いようですね」 ――ちょっとぜいたくをして、フルコースを食べに行くような感覚に近いですね。 諏訪部 「目と耳と、心で味わうおいしいものを、たくさんご用意してお待ちしております!」 山口 「前回に続き、上野にあるフランス料理店『ブラッスリーレカン』さんが、『スプーンの盾』とコラボレーションをしてくださっていて。物語に登場する料理を、実際に味わえるというとてもすてきな試みも魅力的です。作品の世界観を、五感でも楽しめる。そんな貴重な体験を、ぜひ皆さんに味わっていただきたいです」