黒ずくめで銀座の高級時計店に押し入ったわけ…「岐阜で空き巣」からはまった犯罪の沼 「匿流」に絡み取られた20歳は、法廷で「上位者」への恐怖を語った
男はこの事件では現場に行かず、横浜市の自宅アパートから実行役の1人と電話をつなぎ、犯行を指示した。 ところが、実行役のうち2人が「金庫を山梨にもっていく」という事前の指示を破り、現金を持ち逃げしてしまう。しばらくして「組の者」と名乗る人物から男に電話がかかってきた。「おまえのせいで『上位者』たちに入るはずの金が入らなかった。勧誘した実行犯が現金を持ち逃げした責任として少なくとも5千万円払え」。まくし立てる声に、男はおののいた。「怖くて反論できなかった。最悪、自分は死ぬんじゃないか、家族もどこかに連れて行かれるのかと思った」 ▽相談したら、別の強盗に誘われた 困った男は、ある知人に相談。すると今度は別の強盗に誘われた。進退窮まった男は、かねてから「闇バイトはないか」と尋ねてきていた地元の友人を誘い、参加を決めた。それが5月8日に銀座で起きた強盗事件につながる。男は最初、指示通り東京・上野の高級質屋へ向かったが、周辺を多数の警察官が巡回していた。そこで「上位者」に報告すると、銀座の高級腕時計店に狙いが変わった。
午後6時18分ごろ、仲間と共に黒ずくめの服を着て、多くの人が行き交う銀座の目抜き通りにある時計店へ。バールでショーケースをたたき割り、腕時計など74点(販売価格合計3億856万4千円)をバッグなどに押し込んだ。 店にいたのは2分ほど。運転役の仲間が待つ車に飛び乗った。赤信号を無視しながら、約3キロ離れた東京・赤坂まで逃げたが、警察に追われ、車を乗り捨てて近くのマンションに逃げ込んだところ、確保された。 ▽「上位者」への恐怖 法廷で検察官から「犯罪の責任を犯罪でとる」ことについて聞かれると、「留置場に入って、自業自得だと思った」という男。「北斗」から空き巣案件のオファーを受けた時の思いを聞かれ、「空き巣は悪いこと。北斗が危ないとは思っていたが、プライベートで付き合う分には問題ないと思っていた」と説明した。 「北斗」や「組の者」の素性を問われ、いずれも「上位者」と答えたが、詳しい素性は「報復が怖いから、あだ名すらも言えない」と黙り込んだ。
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