「2024年本屋大賞」は宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』。「M-1王者のように本屋大賞作家とずっと呼ばれることになる。身が引き締まる」
「2024年本屋大賞」の発表会が4月10日、都内で行われ、宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』が大賞を受賞した。 この本屋大賞は出版業界の活性化のため年に1回、全国の書店員が一番売りたい本を投票で選ぶもの。これまでの受賞作には小川洋子の『博士の愛した数式』、恩田陸の『夜のピクニック』、リリー・フランキーの『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』などがあり、それぞれ受賞とともに大きな話題を呼んだ。 この『成瀬は天下を取りにいく』は滋賀県大津市を舞台に、主人公・成瀬あかりの中学2年生の夏から高校3年生の夏までの間の出来事を描いた連作短編集。 宮島さんは受賞後のスピーチで「膳所から来ました宮島未奈です。滋賀の皆さん、見てますか? 成瀬が本屋大賞を取りました!」と第一声。そして「本屋大賞にノミネートが決まった時から、作品の舞台である滋賀県の大津市は大変な盛り上がりです。JRの膳所駅には大きな成瀬と島崎のウエルカム看板が設置され、物語に登場したスポットをめぐるスタンプラリーも開催されています」などと地元の盛り上がりを紹介した。
そして「作中で成瀬と島崎が結成する『ゼゼカラ』はM-1グランプリに挑戦するんですが、私は本屋大賞はM-1グランプリのような賞だと思っています。M-1グランプリで優勝したコンビがずっとM-1王者と呼ばれるように、本屋大賞を受賞した作家も本屋大賞作家とずっと呼ばれることになるので、私もこれから本屋大賞作家の看板を背負っていくと思うと身が引き締まる思いです」などと今の心境を口にした。 第1話の「ありがとう西武大津店」は「女による女のためのR-18文学賞」を受賞しているのだが、その時の審査員は三浦しをんと辻村深月。ともに本屋大賞の受賞者なのだが、宮島さんは「お二人と同じ本屋大賞作家になれたことはとても光栄で、奇跡みたいなことだと感じています。またコロナ禍に小説家人生がスタートした私にとっては、こうして多くの皆様にお祝いしていただけたことが、とても感無量です。成瀬も作中で“先のことは分からない”とよく言うんですが、当時の私もこんなことになるとは全然想像していなかったと思います。これから来年の本屋大賞までの1年間も、きっと今の私には想像できないことがたくさん起こるのではないかと思っています。でも成瀬と一緒ならきっと大丈夫です。『成瀬は天下を取りにいく』を読んでくださった皆さん、投票してくださった書店員の皆さん、本当にありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。