中国がビザなし滞在を10日間に延長。景気浮揚に外国人が不可欠との判断
中国国家移民管理局はこのほど、中国を経由して第三国(地域)に渡航する外国人がトランジット(通過)ビザを取得せずに中国国内で滞在できる期間を従来の3日~6日間から10日間に延長したと発表した。背景には、低迷する景気の浮揚にビジネスや観光で訪中する外国人が欠かせないとの中国政府の判断があった。 【全画像をみる】中国がビザなし滞在を10日間に延長。景気浮揚に外国人が不可欠との判断 中国国家移民管理局によると、ビザなしの滞在延長は日本やシンガポール、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジルなど54カ国の旅行者が対象で、24省(自治区、直轄市)の60の通関地からビザなしで入国でき、指定地域内で最大10日間滞在できる。指定地域内であれば省をまたぐ移動も可能になった。 今年1~11月に中国に入国した外国人は前年同期比で86.2%増の約2921万8000人だった。うち、ビザなしで入国したのは同2.2倍の1744万6000人。また2024年上半期(1~6月)の外国人入国者数は前年比2.5倍の延べ1463万5000人になり、コロナ禍前の2019年の同期1553万6000人に近づいた。政府が2023年以降、ビザ免除の対象国を拡大した効果が出たとみられる。 さらに、今年上半期に入国した外国人の約半数を占める854万2000人がビザなしで渡航。2023年の3倍近い伸びで、同局は下半期も外国人の訪中意欲は高い状態が続くと予想している。実際、同局によると、今年年第3四半期に中国に入国した外国人数は、調査が始まった2014年以来、過去最高を記録した。 コロナ禍後、景気回復への道筋が一向に見えてこない中国政府は、ここ数カ月で海外からの観光客を呼び戻すため、ビザ政策を緩和。日本やフランス、マレーシア、ニュージーランド、スイスなど38カ国のパスポート所持者へビザを免除し、中国に最長30日間滞在できるようにした。この措置により観光、ビジネス、文化交流の促進を期待している。 一方、米国務省は最近、「状況の改善」を理由に中国への渡航を見合わせる勧告をレベル3からレベル2に引き下げ、フランスやドイツと同等とした。これは、数年にわたり中国で拘束されていたアメリカ人3名の釈放を受けて実現した。 ただし、今回のビザなしでの滞在期間延長は対象となる外国人が中国全土を自由に旅行することを許可したものではない。外国人訪中者は到着した都市周辺地域にとどまらなければならず、例えば、航空機で上海に訪れる外国人は、近くの江蘇省と浙江省を含む上海大都市圏にとどまる必要がある。チベットなど「特別な地域」も、外国人が訪問するには追加の許可が必要だ。
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