波乱の幕開け、最悪なシナリオも…「金利のある時代」に貧乏になる人、金持ちになる人の違いとは?
金融資産を持った「高齢者」は裕福に。「現役世代」はローン返済と社会保障の増加で……
「今のところは、’26年の3月末までに政策金利は1%に上がり、それからどのくらいのスパンになるかはわからないけれども2%に向かっていくだろうと、市場関係者は捉えていると思います。2%が現実味を帯びてきた感じなので、30年のローンを組んだ人は頭に入れておいたほうがいいでしょうね。 ネット銀行でローンを組んだ人は特に、借りた時の金利が低かっただけに、金利が上がると返済が苦しくなりそうです。より心づもりが必要かもしれません」 住宅ローンを抱える現役世代は、将来の金利上昇リスクを回避するための防衛策を講じておくに越したことはない。 「住宅ローン減税で戻ってきたお金や毎月の黒字は使わずに、将来の繰り上げ返済や変動金利の引上げに備えて貯蓄に回すことが大事です。 僕は個人向け国債を勧めています。個人向け国債は3ヵ月に一度見直されて、金利の上昇分だけ利息が上がるんです。 NISAなどの投資はやめたほうがいいでしょう。5年ぐらい続ければ必ず儲かるみたいな話になっていますが、そうなる保証はありません。個人向け国債で少しずつ増やして、繰り上げ返済に当てるほうが賢いと思います」 住宅ローンの変動金利利用者が、低金利の恩恵にあずかることができた時代は終わりつつある。 金利のある時代は、預金の金利が上がり、金融資産が増える。ローンの返済を終えた、預金などの金融資産を持った高齢者に有利に働く。 一方、現役世代は、「住宅ローンの返済額は上がるし社会保障の負担も増えているし」で、ますます経済的に苦しくなっていく。 財務省によると、’24年度の国民負担率(租税負担率+社会保障負担率)は45.1%(推計)だ。ゼロ金利政策が初めて実施された1999年の国民負担率は35.4%、マイナス金利政策が始まった’16年は42.7%だった。負担が増加していることは一目瞭然だろう。 今、SNSには「現役世代の社会保険料を削減すべきです」「さっさと社会保険料を下げる政策とれよ」といった声が上がっている。 昨年度の国の税収は72兆円余りで、4年連続で過去最高を更新した。それでも社会保障費は上がる。 「税収が上がっていれば、普通の政策としては消費税とか社会保障費を下げますよね。でも岸田内閣は、定額減税4万円でお茶をにごしました」 住宅ローン金利が上がってマイホームの夢は遠のき、社会保障の負担が重くて賃金は上がれど生活費はかつかつ……。これでは日本の婚姻率アップも少子化の解消も望めるはずがない。 松岡賢治 マネーライター、ファイナンシャルプランナー/証券会社のマーケットアナリストを経て、1996年に独立。ビジネス誌や経済誌を中心に金融、資産運用の記事を執筆。著書に『ロボアドバイザー投資1年目の教科書』『豊富な図解でよくわかる! キャッシュレス決済で絶対得する本 』。 取材・文:斉藤さゆり
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