波乱の幕開け、最悪なシナリオも…「金利のある時代」に貧乏になる人、金持ちになる人の違いとは?
「住信SBIネット銀行は、10月から短プラをさらに0.15%引き上げることを発表しています。 ネット銀行は基準金利を採算ラインぎりぎりに設定してきたので、今回の利上げでも引上げに動くと思うんです。短期金融市場からの資金調達のコストを考えても、ネット銀行はメガバンクより日銀の利上げの影響を受けやすいですし、変動金利を引き上げざるを得ないんじゃないでしょうか。 ここ2、3年、ネット銀行で住宅ローンを組む人が増えていると聞きます。もしかすると、ネット銀行で住宅ローンを変動金利で借りている人は、今回の利上げによる影響が大きいかもしれません」 ◆1年半後には政策金利が1%に! 最悪のシナリオは「スタグフレーション」 先月31日の金融政策決定会合終了後、日銀の植田和男総裁は記者会見でこう述べた。物価上昇率が見通しに沿って推移していけば「それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と。 植田総裁の会見から1週間後の今月7日、日銀の内田真一副総裁は北海道函館市での講演で「金融資本市場が不安定な状況で、利上げすることはない」と話し、追加利上げに慎重な姿勢を示した。ただ、「総裁との間に考え方の違いがあるわけではない」とも述べており、市場関係者は「市場が落ち着けば利上げにかじを切るだろう」と見ているようだ。 「短期金融市場では、年内の追加利上げも2、3割程度、予想されてはいます。 でもメインシナリオは、’25年の3月か遅くとも4月までには0.25%引き上げて0.5%に、そして、’25年の9月か10月にも利上げをして0.75%にするというものです。さらに、’26年の3月末頃には1%パーセントに上昇すると見る金融市場の専門家が増えてきている印象ですね」 政策金利が1%に上がった場合、すでに低い変動金利で借りている世帯は返済額が大きく増える。松岡さんは「政策金利が1%になった時の変動金利に、果たして耐えられるかどうか」と懸念する。 「これまでは大体、変動金利の基準金利は2.475%、適用金利が0.3~0.5%前後でした。適用金利というのは、基準金利から優遇幅を差し引いた実際の負担金利です。政策金利が1%に上がれば、適用金利は1%を大きく超えてきます。 適用金利が0.3~0.5%なら、ローン残高の0.7%が所得税から控除される住宅ローン減税で戻ってくる額のほうが利払い分より多い。でも政策金利が1%になると、住宅ローンの利払いがローン減税の控除額を上回ることになります。 融資の限度枠ギリギリでローンを組んでいる人は、おそらく固定金利への借り換えもできないはずです」 そうなってくると、政策金利が1%に上がった先のシナリオが気がかりだ。 「仮に1%が続くと、その後、日本経済は不況になる可能性があります。 一番悪いシナリオは、政策金利が1%に上がってもインフレが収まらず、不況が深刻化し、スタグフレーションに陥ることです。金利を下げることも上げることもできない状態で、景気がどんどん悪くなって物価だけ上がっていく。そうなると、ローンを払えなくなる人が続出しても不思議ではないですね」