これで妥当?IOCバッハ会長が1年延期となった東京五輪追加費用の約856億円を負担と明言「日本の経済危機の手助けに」
国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は14日、理事会後に電話会見に応じて新型コロナウイルスの感染拡大の影響で1年延期となった東京五輪の追加費用としてIOCが最大8億ドル(約856億円)を負担する考えがあることを明言した。 8億ドルの内訳としては、東京五輪の追加の大会運営費として6億5000万ドル(約695億円)、国際競技連盟や各国のオリンピック委員会への助成金として1億5000万ドル(約161億円)となっている。 バッハ会長は「新型コロナウイルス危機による日本の経済への手助けになるだろう」と、負担理由を明らかにした。 1年延期されたことで東京五輪の追加費用は、約3000億円にのぼるとされているが、その追加費用を巡ってIOCはドタバタ劇を演じていた。 4月20日に突然、公式HP上で、「日本の安倍晋三首相が、現行の契約条件に沿って引き続き日本が負担することに同意した」という見解を表明。合意の事実がなかったため、日本の政府、組織委員会が反発し「安倍総理とトーマス・バッハ会長との電話会談では費用負担について取り上げられた事実はなく、双方合意した内容を超えて、このような形で総理の名前が引用されたことは適切ではない」と文書の削除をIOCに要請、21日になってIOCは、当該部分を削除して「IOCと組織委員会を含む日本側は、延期のさまざまな影響について共同で査定し、話し合いを続けます」という見解に書き直した。 2013年にIOCと結ばれた開催都市契約の条項では、開催費用は全額東京、組織委員会、JOCの日本が負担することになっている。延期した場合の追加費用については想定されていなかった。 バッハ会長がドイツのメディアに対してIOCの負担額を「数億ドル(数百億円)」と発言するなど、できるだけ追加負担を避けたいIOCは、世論をうかがう”観測気球”を打ち上げてきたが、今回、初めて正式に8億ドルの負担を明言した。しかし、実質の負担額は、約695億円で、予想される追加費用の総額の23パーセントほど。しかも、3000億円規模とされる追加費用が膨らむ可能性も十分考えられ、このIOCが負担する金額の妥当性についての評価は分かれるだろう。 英国メディアのデイリーメールによると、バッハ会長は「コスト削減のため、2021年の五輪は、規模を縮小しなければならないだろう。この状況では譲歩と犠牲が求められる。五輪精神とスポーツ競技の質を維持する一方で、コストを減らすためにあらゆる可能性を調査している。我々はこの五輪を本質に焦点を置いたつつましい大会としたい」ともコメント。 またUSAトゥデイによると、電話会見で「東京五輪が2度目の延期、もしくは他国に移されることはあるのか」との質問を受けたバッハ会長は、「我々は延期された五輪大会の開幕まで、まだ1年2カ月のところにいる。今、未来の動向に関するあらゆる憶測を刺激するべきではない」と断言。 五輪での観客数制限や、無観客開催の可能性についても「結論を出すにはあまりに早すぎる」と答えず「世界保健機関(WHO)の助言に従い、今後数カ月の新型コロナウイルスのあらゆる進展に目を向け続ける」と続けた。 新型コロナの世界的な感染収束はまだ見えておらず、1年延期された東京五輪に関しての不安や課題は依然として残ったままだ。