「世界が無音になる」 Mー1王者も恐れる、漫才で「滑った」ときのあの感覚 ノンスタ石田×ギャロップ林の“同期対談”
石田:あれはなんでなんやろな。俺もネタ作るけど、最初はおもろいと思って作ってるわけやん? それに、ちゃんと今まで受けてきた実績も一応あるわけですよ。なのに……滑るよな? 林:滑る、滑る。 石田:なんでかわからへんねん。特に、俺たちが「おもろい!」って思えば思うほど滑らへん? ■「滑る」って、普通に生きてたらほぼない経験 林:滑るには2パターンあって。ひとつは、構えすぎてそれが全身から出すぎて滑って、「思い込みすぎたんかな……」って考えたりする。もうひとつは、「これはいけるわ」と思ってたのに急に滑って、めっちゃ焦る。「まだ滑るときの感覚つかめてないやん……」ってなるやつ。
石田:普通に生きてたら滑るって経験、ほぼない。 林:バットを振らなきゃ三振しないってことやからな。 石田:でも、ほんまにみんな1回でもいいから滑ってほしい。滑ると世界が無音になるんよ。 林:「あ、クーラーってこんな音してたんや」みたいなね。 石田:「電球って実はチチチっていってるやん」とかが聞こえてくる感覚になったりする。 でも、「これは滑るやろな……」と思って滑るときは意外とワクワクできるやん。「これは滑るで!」っていうのが予定通りになっている興奮があるから。そうじゃなくて、「ここは手堅くウケとこう」と思ったボケでツルーっと滑ると、「あかんあかん、ネタ飛んだ」ってなって「滑り飛び」する。
林:リズムも変になるしね。「あ、今のところ滑った。でもここでなんとかウケて次行きたいから予定外のこと言わせて。毛利わかってるか? いや、あかんか、次行っちゃうかー」みたいな(笑)。 石田:ツッコミの人って、見切り早いよな。 林:早い。しかも井上も毛利もめっちゃ早いタイプ。 石田:俺らってまだ粘りたいやん。「ごめん、ウケてからじゃないと次のくだり行きたくない」みたいな。 林:でも、間がおかしくなって(相方に)渡すのはあかんから、俺はちょっと体を動かして、「こいつまだなんかある」と思ってもらうようにしてる。ただ、それ自体を滑りすぎて忘れるときがある(笑)。