【独自】「僕って、もともと有名な人なんです」国民民主党の新人候補が「懲戒処分」を受けていた!
「事実です。はい」
ただ、現在の浦川候補は弁護士である一方、衆院議員という公職をめざす立場にある。弁護士としてルール違反を犯しながら、そのことを明らかにせずに自身への投票を呼びかけていいのか。 浦川候補本人に電話で話を聞いた。 ――7月19日付で第二東京弁護士会から懲戒処分を受けている。これは事実でしょうか。 「そうですね。事実です。はい」 ――戒告の処分だが、これはどういう理由で? 「ツイッター(現在のX)上の不適切な発言というふうに言われています」 ――異議申し立てなどをしているか。 「もちろんです。だから、確定処分ではないですね」 ――どこの機関に異議申し立てをしているか。 「日弁連ですね。 第二東京弁護士会が(浦川候補を)処分したんですけど、第二東京弁護士会ってすごく政治的。立憲民主党さんや共産党さんの色が強い。僕は、すごく政治信条とか合わないなって思うことが多くて。結局、思想的な意味での処罰だから、私としてはもちろん納得するわけはないから、上級機関である日弁連で審査しているし。 (懲戒処分の妥当性を判断する仕組みは、一般の裁判と同じ)三審制なので、日弁連でダメだったら、上級裁判所でも審査してもらえることになっているはず」 ◆「僕って、もともと有名な人なんです」 ――いつのツイートが問題視されている? 「’20年です。当時、コロナ禍の全盛期で。僕って、もともと有名な人なんですよ。コロナに関するツイートをするので有名な人だったんですね。 知っている人は知っているんですよ。『万バズ』とかもちょいちょいしていたし。 万バズって、ツイッター(現X)が、何万リツイートとか、何万いいねとかになるやつを万バズっていうんですけど。バズるっていうやつ。 そういったコロナ系のツイートが多いんですよ、政治的なね。僕のコロナに関するツイートって、FRIDAYさんには申し訳ないですけど、メディアの(コロナ報道の)やり方はあまり気に入らないですよと。恐怖を煽ったりしすぎじゃないですかって、報道に対してずっと、ずっと言い続けている人なんで。 別に、コロナが怖くないとか、ワクチンについてはまったく言及したことないし、僕、ワクチン普通に打っているし、『反ワク』って言われる人と一緒にされると心外なんですけど」 浦川候補は’20年当時、このようにツイッターでコロナ関連の発信をするなかで、あるアカウントに注目したという。そのアカウントの持ち主は、自身が新型コロナウイルスに感染したと訴え、その後の後遺症の容態などをリポートしていた。その内容がテレビ局などの目に留まり、報道番組にも出演するなど当時は有名な存在だったという。 ◆「反省したか、お金積んだか」 その一方で、このアカウントに対して、「ミュンヒハウゼン症候群(他人の関心や同情を引くために故意に病気を装う作為症)」を指摘する多数の声が上がるようになった。 浦川候補が続ける。 「で、ツイッター上で『こいつ、ミュンヒ(ハウゼン症候群)でしょ』と言っているアカウントが多くなって、で、僕も『ミュンヒハウゼン症候群でしょ』みたいな感じで言って。そうしたら(コロナ感染を訴えていた)アカウントの信奉者に『弁護士がこんなこと言っていいのか』みたいな感じで、(第二東京弁護士会に対して)懲戒請求された。それが通ったみたいな話です(弁護士の懲戒請求制度は、弁護士に懲戒理由があると考えられる場合、所属弁護士会に対して誰でも懲戒請求できる)」 ――今回の懲戒処分は、どのような規定に抵触しているか。 「弁護士職務基本規程っていうのがあって、そのなかで『弁護士としての品位を害する行為はしてはいけない』っていう(趣旨の)条文があって、(弁護士職務基本規程は全部で)80条くらいの条文があるのに、それしか使われない」 ――浦川さんとしては、恣意的に条文を適用されて罰せられたということで、不服に思っていると。 「そう、全然そうです。弁護士会の処分っていうのは、私たちのなかでは、もう本当にこれ、悪のくじ引きみたいなもんなので、かわいそうって感じなんですよ」 ――悪のくじ引き? 「だって、ほとんど恣意的だから、もう本当、なにがあれ(ルールや罰則規定)に触るのか、全然わかんないんですよ。人によっては、全然軽いやつ(違反行為)なのに(重い罰則である)業務停止のときもあるし、もう意味わかんなすぎて。判断権者が3人ぐらいしかいないから、(懲戒処分を判断するにあたり)その人たちの気分みたいなところ、考え方に寄りかかりすぎていて。あと、反省したか、お金積んだかとか、そんな感じなんですよ。 だから、同業者のなかでは(懲戒処分されることは)かわいそうっていう感じなんですけど」 ◆国民民主はどう答えるか? ――浦川さん自身は、今回の処分は確定したものではないので、衆院議員の候補者として選挙戦に臨むにあたって、有権者が考慮に入れるような情報ではないという考えか。 「いや、そんなことはないですよ。そんなことはないけども、(懲戒処分を受けたことは)弁護士会のシステムがものすごい狂っているというふうに思うきっかけになった。 僕、弁護士になりたかったわけじゃないから。なので、それを変えたりっていう意味も込めて、昨年に国民民主党の公募に申し込んで、実際、受かったので、(弁護士)業界変えたいっていうか。(第二東京弁護士会が)こういうこと(懲戒処分)をするならば、政治的に、これを変えるのであれば、もっと上のところ(衆院議員)に行くしかないじゃないですか。だから政治家になりたいっていうこともある。 (懲戒処分を受けたことをどう捉えるかは)有権者の判断ですけど、僕の話としては、こういうこと(第二東京弁護士会が懲戒処分をしたこと)自体、頭がおかしいから、こういうことを変えるためにも、私を押し上げてくださいみたいな」 自身を懲戒処分にした「頭がおかしい」弁護士会を変えるためにも、衆院議員に当選させてほしいというのである。 一方、弁護士として懲戒処分を受け、このような考え方の浦川氏を公認候補者とした国民民主党はどのように説明するのか。書面で質問状を送ったところ、同党東京都連の石黒達男幹事長(練馬区議)名で次のような回答があった。 〈浦川氏からは懲戒処分の対象となった事案については候補予定者に関しての留意すべき事項として相談を受けていました。(中略)懲戒処分の対象となった事案については本人から報告を受け、SNS上で言葉が苛烈になったことについては真摯に反省をしているとのことであった。(中略)SNSにおける投稿内容については十分に注意するように浦川氏に対して要請しています。浦川氏はこれまでの経験や能力からも衆議院議員候補に適任(だと考えている)〉 浦川候補は、懲戒処分の根拠となったツイッターでの発信が4年前のものだったことをふまえ「4年前の交通事故のことを責められているようなもんですから」とも語っている。 果たして有権者はどのように受けとめるのか。判断がくだる投開票日までまもなくである。 宮下直之(ノンフィクションライター) naoyukimiyashita@pm.me 取材・文:宮下直之(ノンフィクションライター)
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