『海に眠るダイヤモンド』「日給社宅」「外勤」って何? 知っておきたい端島ワードを解説
◆メガネ 第1話で鉄平と兄・進平(斎藤工)がサイダーを飲んでいた場所。防波堤にある穴で、古い時代の桟橋の出入口。穴越しに隣の島を見ると錯視効果で拡大して見えることからそう呼ばれた。戦後はゴミ捨て場と化し、該当シーンをよく見ると後ろでゴミが投げ捨てられている様子も映っている。そのため周辺の海の衛生状態は非常に悪かったのだが、多くの人が気にせず泳ぎ、感染症にかかることもあった。 ◆日給社宅 島内でも特に古い住宅である日給社宅。炭鉱員とその家族が住む建物で、当時の炭鉱員が日給月給制だったことが名前の由来となっている。日本初の9階建ての鉄筋コンクリート造高層住宅なのだが、現代の建物とは違い柱と床だけがコンクリートで造られており、中は全て木造。各部屋の間にコンクリートの壁はなく、全255戸の部屋を区切る壁は、“こまい壁塗り(竹や木を組んだ小舞下地に、自然の色土や漆喰などの上塗りをして、仕上げた壁)”という造りだった。思いきり叩くと穴が開いてしまうほどの強度で防音効果も一切ないため、生活音は筒抜け状態だ。 第1話で鷹羽鉱業の勤労課外勤となった鉄平は、炭鉱員の父・一平ら家族で暮らしていたこの日給社宅を出て、職員社宅で暮らし始めた。 ◆勤労課外勤 鉄平が鷹羽鉱業で就いた職種。主な業務は、住宅棟エリアに常駐し、主に炭鉱員家族の管理を行うこと。特に、炭鉱員の出欠勤を管理して無断欠勤を防ぎ、出勤率を上げるのは重要な仕事の一つだった。 また、職場のみならず生活面のサポートも行い、炭鉱員家族が安心して満足できる日常生活を送れるように生活環境を整えるのも外勤の仕事だったのだ。 さらに、島内を巡回して異常や不審者をチェックし、事故や犯罪を未然に防ぐのも外勤の役割。炭鉱員同士の喧嘩なども、そのほとんどは警察沙汰になる前に外勤が仲裁して収めていた。 ◆端島弁 劇中では方言が混じったようなセリフも印象的。鉄平が説明していたとおり、端島には九州を中心に各地方からさまざまな人が集っていた。“ちゃんぽん”のように各地の言葉が混ざり合い、お互いが話すうちに少しずつ変化していったため、具体的に「これが端島弁」というものはないのだそうだ。 ちなみに、第1話で朝子と鉄平の幼馴染・百合子(土屋太鳳)が言っていた「やぐらしか」には、「面倒くさい」「うるさい」などの意味がある。 ◆一島一家 島に住む人々全員が1つの企業のために働く特殊な環境。だからこそ島民には強い連帯感があり、支え合いながら懸命に暮らしていた。それゆえに島内で起きた事件はもちろん、色恋沙汰などのプライベートな噂話もすぐに広まったという逸話がある。 日本の発展に大きく貢献した石炭。地底の闇を切り拓きながら、それを産出し続けた端島。鉄平が愛したそんな端島での生活は、ホストの玲央(神木隆之介)が暮らす現代・東京の生活とは少々かけ離れている。島の歴史や背景、そこで暮らしていた人々の生活を知ることで、より一層物語に没入することができるだろう。