高齢者の「フレイル予防」に最も効果的な運動、男女それぞれの1位は?
近年、年齢に縛られずスポーツを続ける「生涯スポーツ」が推奨されている。 すぐ思いつくのはジョギングだが、ストイックに続けるのは案外難しい。もっと娯楽要素があり、健康を守る効果が証明されている種目はないだろうか。 筑波大学体育系の研究グループはスポーツ20種目について、高齢者の健康を脅かす「フレイル(心身の機能が低下し、要介護目前の状態)」の進行を防ぐ効果を検討している。 研究者らは、2016年度と19年度に14都道府県で行われた日本老年学的評価研究から、65歳以上の男女7万0545人(男性3万3746人)の身体活動データを抽出。この世代では男性32.2%、女性34.0%が何らかの運動に参加していることがわかった。 人気種目には性差があり、男性の一番人気は「ゴルフ」、次に「ウオーキング」「グラウンドゴルフ」が続いた。女性は「フィットネス」「ウオーキング」「筋力トレーニング」の順で、美容と健康を意識した種目が目立った。 さて、肝心の「フレイル予防効果」だが、意外なことに男性で最も効果が高かった種目は「ダンス」だったのである。 一口にダンスと言っても、社交ダンスからブレイクダンスまで幅広い。共通するのは中~高強度のかなりキツい有酸素運動であることと、心肺機能や筋持久力の向上にとどまらず、柔軟性や関節の可動域の改善にも効く点だろう。 男性で次に予防効果が高い種目は、「サイクリング」「水中運動」「登山・ハイキング」「ゴルフ」だった。女性では「登山・ハイキング」の効果が高く、「ウオーキング」「テニス」「フィットネス」「太極拳」などが続いた。 研究者は「男性は高強度の運動、もしくは競技性のある種目が、女性はほどほどの強度で、自分の身体を深く認識する太極拳などの種目が良いようだ」としている。 男女共通で効果が高いのは「登山・ハイキング」だ。初心者の無謀な登山はご法度だが、最近続々と整備されている「ロングトレイル(長距離自然歩道)」に挑戦してみると楽しいかもしれない。 (取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)
井手ゆきえ