「“試合”ではなく“試験”です」ティーチングプロ・古家翔香は選手権9位の自信を胸にプロテストへ
<ソニー 日本女子プロ選手権 最終日◇8日◇かねひで喜瀬カントリークラブ(沖縄県)◇6670ヤード・パー72> 同級生キャディとこの笑顔【写真】 「すごく幸せな1週間でした」。ツアープロ資格ではなく、今大会で唯一「ティーチングプロフェッショナル資格 A級」の肩書で出場する古家翔香の声は、3連続バーディの締めくくりとあって一段と弾む。 前半からパーを拾って拾って、という展開だったが、最後にそのガマンが実った。16番で4メートルを沈めバーディを奪うと、次も5メートルをねじ込んだ。そして最後は残り89ヤードから54度のウェッジでベタピンにつけてのバーディフィニッシュ。「初めての出場なので、(キャディを務めた)友達と楽しくプレーすることだけを考えました」。この結果、トータル10アンダーまで伸ばして9位タイと、トップ10に滑り込むことができた。 すぐさま10日(火)からは、茨城県の静ヒルズCCで開催されるプロテスト第2次予選に参加。昨年、最終テストまで進んでいるため、1次が免除され、これが今年の大目標へのスタートになる。「ずっと吐きそうです(笑)。テストは違う。“試合”ではなく“試験”ですね」。独特の雰囲気にのまれ、これまでに6度涙をのんできたが、この沖縄で確かな「自信」を手に入れることができた。 昨年ティーチング会員になると、その年に行われた上位15人にQT1次の出場権が与えられる「JLPGAティーチングプロ競技会」で1位になった。そして年末にQTランク180位が付与され、今季は下部のステップ・アップ・ツアーを主戦場に転戦生活を続けている。8試合に出場し、すべて決勝ラウンドに進出。もともと希望していたツアープロとして戦うため、1年を通じていい準備を進めることができている。「落ち着いてやれば大丈夫と信じて。浮き足立たないように」。これをしっかりと肝に銘じる。 今回の活躍で“注目度”もアップした。「ひとりのゴルファーとして、みなさんに知ってもらえるのはうれしいです」と笑みもこぼれる。今回の活躍、そして反響については、むしろ「父が喜んでいます」と明かす。整形外科医を務める父・真一さんに、沖縄からいいニュースを届けることができたのも誇らしい。 「ティーチング代表という気持ちでプレーしました」。そんな4日間で、大きな成果を残すことができた。そして「ツアーに出ている選手は、みなさん上手で、それぞれが強さを持っている」ということを、肌で感じた4日間でもあった。日本の女子プロゴルファーにとって最高峰の戦いを終え、ここからは過酷な“試験”が続く。「来年はツアー会員として戻ってきたいです」。“合格”の2文字を勝ち取りにいく。(文・間宮輝憲)