2024年のベスト・ファミリーハッチバックは? ゴルフ/308/カローラ・スポーツ 3台比較試乗(1)
ファミリーカーの典型 5ドアのハッチバック
最近では稀なほど、名前を聞き慣れた3台だ。しかも、充電ポートは付いていない。5ドアのハッチバックは、5ドアのクロスオーバーやSUVに押され気味だが、それでも一定の支持を集め続けている。 【写真】万能選手的ファミリーカー ゴルフ/308/カローラ・スポーツ 競合クラスのクロスオーバーも (159枚) プジョー308やトヨタ・カローラ・スポーツのユーザー層なら、3008やカローラ・クロスなどへ乗り換えるケースも多いだろう。それでもゴルフは、フォルクスワーゲンの最多販売モデルというポジションを、英国で堅持している。 筆者としては、ハッチバックは長く生き残ってほしいと思う。やっぱり、ファミリーカーの典型だから。文房具でいえば、使い慣れたボールペンのようなもの。万年筆のような高級感はなくても、サラサラっと大体の用は済ませられる。 2020年に世代交代したゴルフには、フォルクスワーゲンの悩める状況が滲み出ていた。電動化とデジタル化のあおりを受け、縮小する利益率を補うべく、インテリアの質感が犠牲になっていた。タッチセンサーやタッチモニターの使い勝手も、褒めにくかった。 8代目へ厳しい声が寄せられたのは、それだけ期待が高いことの表れでもある。先入観をフラットにして接してみれば、運転の印象に優れ、車内空間は広々。見た目も整い、充分に優れたハッチバックだといえるだろう。 とはいえ、フォルクスワーゲンは市民の意見を無視しない。不満の声をブロックせずに、フェイスリフトで多くの改良が施された。
8.5代目ゴルフは原点回帰したよう
タッチモニターとソフトウェアは一新。タッチセンサーにはバックライトが内蔵され、夜間でも触れやすくなった。ステアリングホイールには、実際に押せるハードスイッチが復活し、内装の質感も上昇している。 既にAUTOCARでは8.5代目へ試乗しているが、筆者はゴルフが原点回帰したように思えた。それでは、クラスリーダーとして再選出は可能だろうか。これを判断するには、有能な競合と乗り比べるのが1番だ。 今回用意した1台は、ブルー・グリーンのプジョー308。ステランティス・グループの中でも、訴求力の高いモデルといえる。オペル・アストラやDS4など、プラットフォームを共有する例は多いが、滑らかな運転フィールは特有。不思議なシンプルさが香る。 グループ内の素材を活かし、上品なフレンチへ仕上がっている。登場は2022年で、最近マイルド・ハイブリッドが追加された。電気モーターの出力は28psあり、エンジンを回さず短距離ならスムーズに走行できる。渋滞時などで、燃費に明確な差が出るはず。 もう1台は、ブルーのトヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)。なんと現世代は12代目で、登場したのは2019年。今回の3台では最も古株だが、トヨタ流の無駄を省いたクルマづくりで、時代遅れだとは感じられない。 インテリアの印象は淡白。ダッシュボードやドアパネルはソフトタッチ加工されているものの、デザインの特徴は薄いだろう。見入るようなディティールはないし、素材は平凡。タッチモニターのグラフィックにも、トヨタらしさは感じにくい。