友人の夫は「自衛官」で、たまにしか家に帰ってこないそうです。業務が大変そうですし、それだけ高い「給料」をもらっているのでしょうか?
自衛官はどのような業務内容でどのくらいの給与水準かを説明します。 また、自衛官の生活や勤務条件などを解説し、高い給与を得るための条件やキャリアパスもご紹介します。 ▼「公務員は安定している」って本当? 定年退職の割合や退職金の平均額を教えて!
自衛隊の職種と役割
自衛隊とは、国の防衛を第一の使命に、日本の平和と独立を維持することを目的にした組織です。大規模な自然災害における災害支援や、紛争地域における平和維持のための国際平和協力活動なども行っています。 日本には陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊の3隊があり、平時から訓練を行って日本周辺の海や空を常時警戒・監視し、侵略行為の未然防止に備えています。自衛隊には階級として16階級あり、大きく分けて「幹部」「准尉」「曹士」の3つに分かれます。
自衛隊の年収と民間の平均年収の差
自衛隊と民間企業で働く人との年収の差を表1でご紹介します。
出典:「国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査」「防衛省・自衛隊帯広地方協力本部 自衛官のお給料について」より筆者作成 表1のように、民間の平均よりも自衛官の年収は高いだけでなく、生活費がかかりにくいことも特徴です。 例えば、2等陸士で一般曹候補生や自衛官候補生(任官後)については、駐屯地内に住めるため家賃や水道・光熱費は0円、食費も駐屯地内の食堂で食べることができるため0円、仕事用の衣類や服も国から貸し出されるため0円と、生活に余裕があります。
充実した手当
自衛官独自の「配置手当」「特殊勤務手当」があります。「配置手当」とは、職務が複雑・困難で勤務条件が特殊な仕事に配置されている自衛官への手当、「特殊勤務手当」とは著しく危険で困難な勤務をする自衛官への手当です。
出典:「防衛省 防衛省・自衛隊に関する質問~32 自衛官の手当について~」より筆者作成 危険で困難な勤務に支給される特殊勤務手当の場合、例えば「海上警備等手当」は中東地域で日本関係船舶の安全確保に資する情報の収集に関する業務として日額840~4000円がつきます。
自衛隊のキャリアパス
大学から進む通常の幹部候補生コースが「一般幹部候補生」、歯学科から歯科医官となる「歯科幹部候補生」、薬学科から薬剤官となる「薬剤科幹部候補生」があります。 入隊後は「陸上・海上・航空各自衛隊幹部候補生学校」で幹部候補生として約1年間(歯科幹部候補生は約6週間)教育を受けます。 1年の課程が修了したら3尉(院卒者試験合格者は2尉)に昇進し、幹部候補生学校卒業後5年で1尉になります。その後は、幹部のなかでもとりわけ優秀な人は、30代半ばで3佐へ昇任します。大卒の場合は2佐まで昇進することが多いようです。 基地や駐屯地の司令などを担う1佐は幹部候補生学校でも常に成績上位を維持する必要がある重要な役職です。将官になるためには、幹部候補生学校では成績優秀者に、部隊での勤務成績も優良で幹部中級課程、幹部高級課程でも成績優秀者になる必要があります。