「(井上尚弥戦は)楽しみにしてもらえれば」東京ドームで観戦した中谷潤人が語る、“井上の特別な能力”「ネリは何もできない状況だった」
中谷潤人は“井上vsネリ”を目の前でどう見たか?
ルディの言葉と周囲の期待感。それらを胸に秘め、5月6日、東京ドームの井上尚弥―ルイス・ネリ戦をリングサイドで観戦した。 「1ラウンド目のダウンはありましたけど、そこからの修正能力というのはすごく見応えがありました」 井上は1回にプロアマ通じて初のダウンを喫したものの、2回に左フックでダウンを奪い返す。以降はペースをつかみ、5回に再び左フックで倒し、6回には圧巻の右ダブル。右アッパーからのコンパクトな右でキャンバスに沈めた。 中谷は井上とスパーリングをしたことはない。「向き合っていないからわからないですけど」と前置きし、井上の最も優れている点として挙げたのが、対応力だ。 「1回は結構近い距離、ネリのパンチが生きる距離でやっているな、と感じたんですが、2回目以降はより警戒して、自分の距離を徹底してジャブで寄せ付けなかった。そこから、しっかり組み立て直していた。ネリは2回以降、何もできていない状況だったので。対応力っていうか、対応して、自分のボクシングを通用させる能力っていうのがすごく高い。どんな相手にでも自分のボクシングをして、通すというのはさすがだなと感じますね」
中谷が真っ先に挙げた“衝撃のロドリゲス戦”
すぐにペースを奪い、2回以降はネリに主導権を渡さなかった。目を見張る井上の対応力。それはこの試合に限ったことではない。中谷が真っ先に挙げたのが2019年5月のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)戦だ。1回からハイレベルな攻防を展開し、珍しく井上がプレッシャーをかけられ、受けに回る場面があった。 「2回からロドリゲスがそう来ると想定というか学習して、そこをアジャストしていく。やっぱりリングに上がって相手がどう来るかわからない。そこに対して、自分がどういうアングルだったりとか、フェイントだったり、どう対応するか、という対応力が優れているなと感じますね」 2回に左のショートフックでダウンを奪うと、立ち上がってきた相手に左右のボディで試合を終わらせた。 たとえ相手のペースになったとしても、すぐに対応して主導権を奪う力。中谷の見立てでは、リング上で井上は常に相手にプレッシャーをかけている状態で、フェイントをかけたらどう動くか、相手がどのように出ようとしているか、何を狙っているかを読みやすいような状況に追い込んでいるという。
印象に残る、もう一つの試合
井上はパワー、スピード、テクニック、距離感の把握など、どれをとっても長所といえる。だが、中谷は少し笑みを浮かべて言った。 「いくらパンチがあっても、対応できなければ当たらないので。そこ(対応力)を一番感じますね」 印象に残る試合として、もう一つ挙げたのは2019年11月のドネアとの初戦だった。 《インタビュー後編に続く》 (撮影=松本輝一)
(「ボクシングPRESS」森合正範 = 文)
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