音楽監督に久石譲を迎え、斬新なプログラミングで挑む、日本センチュリー交響楽団の2025-26シーズンラインナップ
2025年4月から作曲家・指揮者の久石譲を音楽監督(現首席客演指揮者)に迎える日本センチュリー交響楽団。その就任決定と同時に発表された2025-26シーズンラインナップが注目を集めている。全8回の定期演奏会はすべてにベートーヴェンの交響曲と現代音楽が含まれた内容。「クラシック音楽は古典芸能ではない」と語る、久石の姿勢が鮮明に打ち出されたプログラムとなった。 全ての写真はこちら ミュージックアドバイザー 秋山和慶は2回の登場。シーズン開幕の第289回ではプーランクのバレエ組曲『牝鹿』、デュティユーのチェロ協奏曲『遥かなる遠い国へ』、ベートーヴェンの第5番『運命』を指揮。そして第296回ではシューベルトの交響曲第5番、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲、ベートーヴェンの交響曲第8番を取り上げる。音楽監督 久石譲は3回の登場。それぞれに自身の作品が置かれた。就任披露演奏会となる第290回には久石の交響曲第2番とベートーヴェンの第6番『田園』を。また第292回ではベートーヴェンの第1番、久石の『Adagio for 2 Harps and Strings』、ラヴェルの『ダフニスとクロエ』第2組曲[合唱付き]を演奏。そして第295回は久石の『Encounter for Strings Orchestra』『ハープ協奏曲』(日本初演)の2作品と、ベートーヴェンの第3番『英雄』を取り上げる。 初来日となるのが第291回、ブルガリアのデルヤナ・ラザロワ。ラヴェルの組曲『クープランの墓』、アメリカの作曲家 ショウの『アントラクト』、ベートーヴェンの第4番を取り上げる。同じく初来日となるのが第294回のエストニア国立歌劇場芸術監督アルヴォ・ヴォルマー。同郷の作曲家アルヴォ・ペルトの『カントゥス-ベンジャミン・ブリテンの思い出に』、ブリテンのヴァイオリン協奏曲、ベートーヴェンの第7番を演奏する。2年連続の定期登場で存在感を示すのが第293回の太田弦。ベートーヴェンの第2番とともに武満徹の『波の盆』『系図-若い人たちのための音楽詩』を取り上げる。全8回とも古典から現代音楽までが時空を超えてつながるような、新鮮な選曲だ。チェロの笹沼樹(第289回)、ヴァイオリンの金川真弓(第294回)、中野りな(第296回)ら気鋭の奏者に加え、久石の『ハープ協奏曲』の世界初演(2024年11月、ロサンジェルス・フィルハーモニック)でソリストを務めた国際的なハーピスト、エマニュエル・セイソン(第295回)ら演奏陣も聴き逃せない。武満徹の『系図-』(第293回)でアコーディオンを演奏する、かとうかなこ、語りを務める寺田光も魅力だ。 「音楽は今も作られていて、未来へとつながっている。このことを示すために必ず1950年以降に書かれた作品を取り上げていく。そしてセンチュリーと現代の新しいスタイルでベートーヴェンを演奏する。その上であと1曲を指揮者に選んでもらう。そう考えて作っていったプログラムです」。音楽監督就任の記者会見でそのように語った久石。世界的な知名度を持つ久石譲と高いアンサンブル能力を誇るセンチュリーの顔合わせに寄せられる期待は大きい。新シーズンのチケットは1月23日(木)から、順次発売される。