中越典子さん(44)“朝ドラヒロイン”としてスタートした女優人生「でも、肩書きに実力が追いつかず劣等感がありました」|STORY
ターニングポイントは5回目のオーディションで勝ち取った朝ドラ主演
実は王様のブランチリポーターを卒業してからの半年間、何も仕事がなかった空白の時期があったんです。その間はずっとオーディションを受け続けていて、CMやセリフのないドラマも受けたけどなかなか決まらず…。 半年もブランクがあったので、次のオーディションに落ちたら芸能界は諦めて、一旦0ベースに戻ろうと決めて臨んだのがNHKの朝ドラ「こころ」でした。年に2回受けて、5回目でやっと合格することができた念願の朝ドラ主演。背水の陣で挑んだので、気合いと気迫が審査員の方に伝わったのかもしれません(笑)。 女優人生の中では、やっぱり「こころ」がターニングポイントになったと思います。向き合った時間も10ヶ月と長く、“朝から晩までお芝居をする”という、ほとんど初めてに近い経験の毎日。常にアドレナリンが放出されていて頭の中も混乱もしていたし、記憶が飛んでしまうくらい衝撃的な10ヶ月でした。 あまりにも目まぐるしい撮影スケジュールだったので、自分の感情は置き去りで目の前のことをこなすのにただただ必死。お芝居も思うようにできない中、周りの大御所の役者さんたちを前に「常に笑顔でいなくちゃ…」という妙なプレッシャーで気を休めることもできませんでした。 そんな状況が3ヶ月続いた頃、ついに疲労がピークに。ものもらいが3つもできて、体力も気力も限界に達し…寝落ちして長文のセリフを覚えきれないまま翌日の本番を迎えるという事態に!夜中に撮影をストップさせて、2時間でセリフを覚えて再撮影をするという大失態を犯しました。今思えば、本当に責任感がなかったなと。その挫折からは襟を正して、気を引き締めて撮影に臨みました。 朝ドラは1日に10シーン以上撮ることもよくあるんです。物語の時系列に関係なく、家のリビングのシーンがあれば8話分一気に撮ったりするほど、分刻みでバタバタのスケジュール。そんな風に無我夢中で向き合い続けた10ヶ月は私のお芝居の礎になっているし、役者としての原点ですね。