高校部活の遠征費 CFやアプリで捻出 物価高騰「家庭の負担減らしたい」 全国連続Vの⚽藤枝順心など知恵絞る
止まらない物価高騰の影響で宿泊費などが値上がりする中、冬の高校スポーツの全国大会で遠方に長期間滞在する静岡県内の各校が費用捻出に知恵を絞っている。新たにクラウドファンディング(CF)やアプリを活用し、遠征費の一部を稼ぐチームも出てきた。学校や後援会からの補助金には限りがあり、自らの創意工夫でしのごうとする新たな動きに注目が集まる。 今冬のサッカー全日本高校女子選手権で全国高校総体と合わせて5季連続の日本一を狙う藤枝順心は滞在費を補うため、今年初めてCFを始めた。昨年度から全国総体が北海道開催となり、約30人が参加する夏と冬の全国大会への出場経費は年間約2千万円にも上る。中村翔監督(36)は「ありがたい悩みだが、勝ち進むと(経済的)負担が大きくなる。選手たち(各家庭)の負担を少しでも減らしたい」と切実な思いを語る。SNSでも積極的に取り組みを発信し、目標の150万円を達成した。 部オリジナルの公式アプリで賛助金を募っているのは、バスケットボール男子の藤枝明誠。冬の全国大会「ウインターカップ」に3年連続で出場する同部は遠征費を得るためアプリのコンテンツとしてマネジャーが最新のニュースを書き込んだり、金本鷹監督(34)がコラムを掲載したりしている。返礼品としてグッズも送り、1年半ほどで賛助金は計100万円を超えたという。 バスケットボール女子で冬の全国大会に9年連続出場を決めた浜松開誠館も経費増に苦心する。昨年まで定宿として利用した都内のホテルは年々値上がりし、一人1泊で1万円以上。そのため今年は県大会で優勝する前から、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都)を予約し宿泊費を昨年の半額に抑えた。それでも三島正敬監督(49)は「食費やガソリン代を含む交通費など、物価高の影響は大きい」と打ち明ける。 春高バレーに出場する女子の富士見は、移動時にマイクロバスを活用して交通費を節約。その分をメンバー外生徒の宿泊費に充てて個人負担を減らす努力を重ねる。ただ、節約には限界があり、別競技の関係者からは「大会スポンサーが補助してくれるといいのだが」と本音も漏れる。
静岡新聞社