マレーシアのコンビニ大手「99スピードマート」、IPOで770億円調達へ
マレーシアの小売りチェーン、99スピードマートを運営する99スピードマート・リテール・ホールディングスは、9月に新規株式公開(IPO)を予定している。同社は、売上高で国内最大のミニマートチェーンとされている。 9月9日に予定される99スピードマートの上場は、23億6000万リンギット(約768億円)を調達し、過去7年間のマレーシアで最大のIPOとなると予想されている。この上場により、同社の創業者でCEOのリー・ティアム・ワーは、推定保有資産28億ドル(約4042億円)でビリオネアの仲間入りを果たすと見られている。 99スピードマートは、上場によって調達した資金を、小売ネットワークの拡大や新たな流通センターの建設、配送トラックの拡大に充てる予定だと目論見書で述べている。同社は、今後の3年間で年間250店舗の開設を計画しており、2025年末までに3000店舗の運営を目指している。 日用品を手頃な価格で提供することで成功を収めた99スピードマートの2023年の売上高は、前年比15%増の92億リンギット(約3000億円)で、純利益は22%増の4億リンギット(約132億円)だった。調査会社のフロスト&サリバンによれば、ミニマートの市場シェアは急速に拡大しており、2018年の24%未満から2023年には29%近くに増加した。 現在60歳のリーは、大きな困難を乗り越えて小売帝国を築き、成功を収めた。建設労働者である父親と屋台商人の母親の間に生まれた11人の子供の一人である彼は、幼少の頃にポリオを患い、車椅子生活を余儀なくされた。6年間の初等教育しか受けることができなかったリーは、以前のフォーブスのインタビューで、「身体の制限のために、誰も私を雇ってくれなかった」と語っていた。 23歳までに5000ドル(約71万円)相当の貯金を蓄えた彼は、1987年に故郷の港町クランで初めてのミニマーケット、パサ・ラヤ・ヒアプ・ホエを開業し、5年後にその店を売却して、低所得者層を対象にしたチェーンストアのパサ・ミニ99を立ち上げた。「より大きなビジネスを運営するという挑戦をしたかった。規模がなければ、中華系の薬局チェーンと価格で競うことも、ハイパーマーケットと品揃えで競うこともできない」と、リーは以前のインタビューで述べていた。 彼は2000年までに、成長を続けていた店舗ネットワークを99スピードマートのブランドに統合し、現在の店舗数は2600店舗以上、雇用者数は約2万2500人と、マレーシア国内で競合するセブンイレブンを凌駕している。リーはまた、マレーシアとシンガポールにおけるバーガーキングのフランチャイズ権を取得し、シンガポールにスーパーマーケットチェーンのUスターズを設立するなど、小売業のポートフォリオを拡大している。 彼はまた、2023年にマレーシアのアライアンス銀行の株式の5%を取得するなど、銀行業界への投資も行っている。
Yessar Rosendar