FRB、銀行資本規制強化案の大幅緩和検討-修正案提示と関係者
(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)は、銀行の資本規制強化案に関する修正案をまとめた3ページの文書を米連邦預金保険公社(FDIC)と通貨監督庁(OCC)に提示した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。ウォール街金融機関の負担を大幅に軽減する内容という。
関係者らによれば、提案された修正は資本規制強化案の主要部分を取り下げるもので、それには大規模なトレーディング業務を展開する大手行に大きな影響を与えたであろう内容も含まれる。詳細が公になっていないとして関係者が匿名を条件に語った。
FRBの文書には、大手行が金融ショックに対する緩衝材として保有しなければならない資本上積み額に関し、最新の見積もりは含まれていない。しかし、関係者によると、初期の計算では修正後の積み増しは5%程度にとどまる可能性がある。当初は概して16%を想定していた。
こうした修正が実現すれば、昨年7月に資本規制強化案が発表された後、激しいロビー活動を展開していたウォール街の銀行にとって勝利を意味する。大幅修正に伴い、FRB内で幅広い支持を集めるというパウエル議長の目標を達成できる可能性が高まる。
共和党指名の2人の理事は、当初案は貸し出しコストを引き上げ、経済に影響を及ぼし、米銀を国際的ライバルに対し弱い立場に置く恐れがあると主張していた。
パウエル議長は今年、規制強化案が「広範かつ重要な変更」を迫られると示唆。当初案の立案者とみられていたバーFRB副議長(銀行監督担当)も後に同様の発言を行っていた。
米当局者の間で合意はまだ成立しておらず、11月の米大統領選までに修正案がまとまるかどうかは不透明。事情に詳しい関係者によれば、バー副議長は資本積み増し幅の縮小について議論するためFDICとOCCの首脳らとすでに協議したという。
一部の関係者によると、OCCとFDICの高官は、市場リスクとして知られる提案の重要部分を後退させることにオープンだが、低過ぎる資本の上積みには抵抗する意向を内々に示しているという。