【宮本慎也】楽天辰己涼介は3番を任されたプレーではない 能力あるだけに試合展開と役割考えて
<日本生命セ・パ交流戦:楽天3-4広島>◇15日◇楽天モバイルパーク 交流戦で熾烈(しれつ)な優勝争いをしている楽天が、広島を相手に敗戦した。手痛い1敗ではあるが、交流戦前の戦いと比較すると、今試合でも0-4から1点差に詰め寄り、しぶとい野球が実践できている。チームが成長している証しだろう。ただ交流戦後の巻き返しに向け、もうひと踏ん張りするために足りない部分を検証してみたい。 【写真】交流戦Vの行方 最初に紙一重のプレーを、あえて反省点として挙げたい。2回表2死一塁、投手の古謝は8番の佐藤に四球を与え、9番の二俣に先制打を打たれた。言うまでもなく痛いのは、8番打者への四球。フルカウントからストライク判定でもいいと思った低めのスライダーがボールと判定。不運な面もあったが、初球と2球目の真っすぐもボールで、打者有利のカウントからの勝負になった。ここでの四球は絶対に避けなければいけないのなら、もっと大胆にストライクゾーンで勝負するべきだった。 2回裏1死一、三塁からの7番・渡辺佳の投ゴロ併殺も痛かった。この場面、打者は「併殺を避け、なんとか犠牲フライ」を狙いたい。技術的にはフライの上げやすい高めを逆方向へ狙うのが正解。しかし3球目の甘いスライダーを打ち損じてファウル。追い込まれてからの甘い真っすぐも打ち損じて投手前のゴロになった。速い真っすぐは逆方向という基本の打撃ではなかった。 6回表の「守り」も甘かった。まず、プロ入り3度目の先発となったルーキーの古謝はここまでの先発で84球と88球しか投げていない。無死から連打を浴びた時点で球数は最多の91球。1死一、三塁からの坂倉のタイムリーが98球目。そして堂林のダメ押し打は100球目だった。楽天はリリーフ陣が好調なのに、3度の交代期で続投させて追加点を与えた。 そして何よりも理解しがたかったのが4点リードされた6回無死一塁からセーフティーバントした辰己。あの場面でセフティーを狙うなら、三塁線のファウルラインのギリギリに転がさなければいけない。投手が簡単に処理できるようなゾーンはダメで、最悪でも送りバントになって打率を下げないためにやったように感じてしまう。3番を任された打者のプレーではない。 ルーキーの古謝と、ここまで頑張っている渡辺佳、そして監督1年目の今江監督は、この経験をその後の戦いに生かせばいい。辰己にしても、能力があるだけにもう少し試合展開と自分の役割を考えてプレーしてほしい。交流戦は残り1試合。最後は悔いのない試合をしてほしいし、交流戦明けのペナントでも、強くなった楽天のプレーを披露してもらいたい。(日刊スポーツ評論家)