ヤクルトD1位・西舘昂汰は大先輩・石川雅規からの金言胸に1軍のマウンドを目指す
【燕番コラム】引き締まった表情と、額に光る汗が努力の日々を物語っていた。ヤクルトのドラフト1位・西舘昂汰投手(22)が、座った捕手への本格的な投球練習を開始した。1月の新人合同自主トレーニング中に上半身のコンディション不良でノースロー調整となって約3カ月。確かな一歩に、実感を込めた。 【写真】ヤクルト・西舘昂汰 「ピッチング自体、(捕手が)座って投げるのは半年ぶりで、すごく長い間投げられなかったので、本当に大きな一歩を踏み出せたかなという気持ちですね」 やっと光が差してきた気分だろう。2軍の宮崎・西都キャンプ中もノースロー調整が続き、朝から夕方まで基礎的なトレーニングを続けた。ボールには触れず、仲間たちが白球を追う姿がうらやましく感じながらも、愚直に〝今の自分〟と向き合った。 3月にキャッチボールを再開すると、4月には傾斜を使った投球練習もスタート。腕が遅れて出てこないようショートアーム気味にしてトップ(投球時に利き腕が一番高い位置にくるところ)を作るイメージをつけるなど、レベルアップを図りながらここまで来た。着実に歩みを進められた裏には、大先輩・石川雅規投手(44)からの金言があった。 『今の時期はすごくきついけど、5年後、10年後のためを思って、今の練習をやりなさい』 埼玉・戸田球場での練習で一緒になった際には、よく声をかけてもらった。球界最年長選手でありながら、貪欲で、常に進化を目指しているベテラン左腕からの言葉に「やっている最中は精神的にきついときもあったので、活躍する自分を常にイメージしながらやりました。石川さんにはいろいろなお話をしていただいて、すごくありがたいです」と感謝した。 大切なのは未来につなげるための「今」。今取り組んでいることが未来の自分を作り上げる。「今はプロ野球選手としての仕事は果たせていない。ボールを投げて野球に取り組むことが僕たちの仕事だと思っているので、今までできなかった分をこれから取り返していきたいですし、早く実戦で投げて、一日でも早く1軍でプレーできるように頑張りたい」と西舘。神宮のマウンドで大歓声を浴びながら投げる姿をイメージしながら、一歩ずつ進んでいく。(赤尾裕希)