奥田民生が、去年から節酒をはじめた理由…それでもタバコは還暦になっても続けるというが
奥田民生にとっての還暦とは
──続いて第5章「メンタル」に、47歳と58歳のときにサッポロの「大人エレベーター」のCMに出演した話が出てきます。妻夫木聡に「調子の悪いときは?」と質問されて、民生さんは47歳のときは「なんとかする」と答えていて、58歳のときは「我慢する」と年齢によって違う答えをしている。 それをまわりが許してくれる年齢になっているってことでしょうね。その「我慢する」っていうのは、「そのままにしている」っていうことなんだよね。「放置する」というか、調子の悪さを改善するために、「なんとかする」ことをしてない、っていうことだよね(笑)。 自分でなんとかしていい方向に持って行って、ホッとしたい、というのが47歳のとき。58歳のときは、その力がないから、その調子の悪さを食らったまま我慢して、「早く終わってくれ」っていう感じになってるのね。 それは、もうそんな年だから、そうなってもいいんじゃないの? っていう空気があるからじゃないですかね。自分にも、まわりにも。もう、なんか食らったときに、跳ね返せないんですよ。食らったままになってるわけ。で、時が経ったら、なんかいつの間にか治ってました、みたいな日々ですよ(笑)。 ──なかなかしんどそうな日々ですが。 いや、そんなことないよ。要するに、食らってる間は、若い頃ならそんな状況に耐えきれないわけよ。それが、年を取るといろんな経験もあって、「うわ、食らった。でもこれ、前にもあったかも」とか言っているうちに、じわじわ~ってなじんでいくという。そういうことです。還暦っていうのは、そういうことが許される年なのかな、と。今回の本もそういう本です。 取材・文/兵庫慎司 撮影/濱田紘輔
集英社オンライン