<集団的自衛権を考える>武力行使ができるのはどんな時?「基礎編」
集団的自衛権が発動される条件は?
集団的自衛の場合、これに異なる要因が加わってきます。政府・与党における困難な交渉の末、閣議決定された新方針は、次の要件が満たされる場合には日本は「武力を行使」できるという考えを打ち出しました。「武力を行使」するとは、武器を取って反撃する、つまり戦うことを意味します。 「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し」 「これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において」 「これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに」 「必要最小限度において」 ということです。
要件を満たすか否かは政府が判断
具体的なケースにおいて要件が満たされているか否かの判断は政府が行ないますが、原則として事前に国会の承認を求めることになっています。こうすることにより政府が独断で突っ走るのをチェックするという考えですが、現在の政府と議会のあり方から見て、そのようなチェック機能が本当に働くか疑問だとする声もあります。緊急に対応しなければならない場合には国会の承認は事後的にならざるをえないということも考えておく必要があります。 今後の手続きとしては、閣議決定された方針を実施するために法律の整備が必要であり、現在関係省庁で準備中です。政府は関連の法案を来年の通常国会に提出する予定です。 (美根慶樹/キヤノングローバル戦略研究所)