<高畑充希>一条天皇の寵愛を一身に集めた定子は幸せだったのか? 「真綿で首を絞められるような苦しさ」の中で
決して受け身なだけの姫ではない、能動的な部分や聡明さを持ち合わせていた定子。
「自分というのがちゃんとあった人だから、少納言との関係性を築けたり、一条天皇に愛してもらえたりっていうのは絶対あったと思います。でも一条天皇に愛されたがゆえにああなってしまったとも思うし、頭が切れたからこそ、姑(吉田羊さん演じる詮子)に煙たがられたり、定子のいいところ、すてきなところがマイナスに振れる瞬間が多々あって。人としてすごく好きだけれど、もう少し、何も考えない、なんとなく生きている人だったら、あんなにも苦しまなくて済んだのかなと思っています」
◇一条天皇とのシーンは「総じてすごく複雑だった」
良くも悪くも定子の人生を大きく左右した一条天皇の寵愛について、高畑さんはどう感じていたのだろうか? ちなみに一条天皇役の塩野さんとは再共演で、「まったくはじめまして、ではなく久々の再会でご一緒できたのはよかったなって思っています」とほほ笑む。
「塩野さんは『定子さん、すごく好きです』と恥ずかしげもなく言葉で表現してくださる方。それにすごく救われた感はありました。憧れられたり、めちゃくちゃ愛されたりする役って、どこか不安なんです。自分で大丈夫なのかなとずっと思ってしまうし。ウイカちゃん(ききょう役のファーストサマーウイカさん)もそうですけど、塩野さんもそういうときにすごく持ち上げてくれて、せりふの上でだけなく、推してくれて不安を減らしてくれたというのはすごくあります」
その一方で、一条天皇とのシーンは「総じてすごく複雑だった」というのが率直な感想だ。
「最初の頃は可愛い弟のような存在。そこから男性として見るようになって、愛し合って。でもその後は、ただ好きってことだけじゃなくて、この人に見放されたら、自分と子供は行く場所がなくなるし、終わってしまうっていう、保身も加わってきてしまう。それに対して一条天皇は『愛』一本勝負できてくれるキャラクターだったので、そこの温度差みたいなもの、男性と女性の考え方の違いみたいなものがすごく見えました。愛情をもらうのはうれしいし、こっちも全力で応えたい、それだけじゃないことも考えなくていけないという、混沌とした感情も後半は自分の中にありました」