「DD」増加や異色コンセプトアイドル台頭……2014年女性アイドル業界振り返り
「戦国時代」といわれて久しい女性アイドル業界。アイドル専門ライターとしてアイドルの最前線に詳しい岡島紳士氏は最近のアイドル事情について、「特定のグループだけを応援するのではなく、アイドルというジャンルが好きな『DD(誰でも大好き)』ファンが増加している。海外人気が先行するBABYMETALのような逆輸入アイドルも目立ち、アイドルがクールジャパンのカテゴリに入ってきている」と話しています。岡島氏ともに2014年のアイドル業界のトピックを振り返ってみました。 【写真】ガガ前座に抜てき「BABYMETAL」はどんなグループ?
アイドルファンのすそ野拡大
岡島氏がまず指摘したのはアイドルファンのすそ野が拡大している点。 先頭を走るAKB48グループやももいろクローバーZが今年、国立競技場でのライブを成功させたほか、5000人~2万人収容規模の会場でのワンマンライブを行うグループが目立ち、日本武道館(最大約1万5000人収容)ではチームしゃちほこやスマイレージ(現アンジュルム)がライブを行ったほか、ベイビーレイズ(現ベイビーレイズJAPAN)も12月18日に公演を成功させました。 岡島氏は「インディーズ系でも1000人規模の場所で単独ライブを行う数が増えている。2010年に始まった東京アイドルフェスティバル(TIF)も今年の来場者数は過去最高の4万人を超えた。一時期のアイドルファンは資金力のある社会人が中心だったが、若年層や女性などが戻ってきている印象で、マンガやアニメのようにアイドル好きを話題にしやすい環境になっている」とみています。地方にも乱立するなど、供給過多ともいわれるアイドルグループですが、意外にも「大箱」のコンサート会場での集客力は健闘しているようです。「大きな会場で一緒に盛り上がりたい、グループの転換点ともなる単独ライブを見届けたいというファンが多い」といいます。
高い海外人気で逆輸入も
続いてのトピックはBABYMETALやでんぱ組.incといった異色コンセプトのグループの台頭です。 BABYMETALはアイドルとヘビーメタルの融合をコンセプトにかかげた10代の女の子3人組。もともとさくら学院の一ユニットだったグループが日本を飛び出し、海外のメタルフェスなどに積極的に参加し、今年はついに英・仏・米などを周る世界ツアーが成功。レディー・ガガのオープニングアクトも務め、さらに名声を高めました。2008年結成のでんぱ組.incはすべてのメンバーがアニメやゲームなど「オタク」的要素を掲げているのが特徴。今年5月には目標だった武道館ライブを達成しています。両グループとも日本国内だけでなく、海外での人気の高さも際立っているといえます。 岡島氏は「もともとアジアやフランスなどはかわいい女の子が歌って踊るアイドル人気が低くなかったが、アイドル文化が受け入れられにくかった米国でもBABYMETALが成功したのは大きい。でんぱ組.incはいろんな音楽やファッションに挑戦しつつも『電波ソング』という根幹のコンセプトをずっと変えなかった。海外のファンからするとジャパニーズカルチャーの象徴として受け入れやすのではないか」。アイドル市場の海外展開は最近注目されており、BABYMETALのような逆輸入型は今後トレンドになる可能性もあります。