【米国株ウォッチ】年初来で15%上昇のハイアット・ホテルズ、新しい戦略に注目
ハイアット・ホテルズ(ティッカーシンボル:H)の株価は年初から15%近く上昇した。比較として、ライバルのヒルトン株は同期間に約27%上昇している。 ハイアット株の上昇にはいくつかの背景がある。まず、世界経済への懸念にもかかわらず、旅行需要は堅調を維持している。2024年第2四半期、ハイアットの客室あたりの収益は、稼働率と平均客室料金の両方の上昇に牽引され、前年同期と比べ4.7%増加した(2024年第1四半期の成長率は、前年同期比5.5%増)。中華圏から日本、タイ、韓国への旅行客が増加し、アジアでの事業が引き続き成長の最大の原動力となっている。さらに、米国事業も団体旅行やビジネス旅行で増加した。 ハイアットは今後の業績見通しとして、2024年度の客室あたりの収益は前年比で3~4%の増加、客室の純増数は5.5~6%の増加、EBITDA(利払い前・税引前・償却前利益)は2023年度の10億3000万ドル(約1527億円)に対し、2024年度は11億~11億4000万ドル(約1631~1690億円)になるとしている。 ハイアットは主に、同社のブランドと知的財産を第三者のオーナーやフランチャイジーに使用させることで、手数料収入、ライセンス、その他のサービスから収益を上げている。2024年第2四半期、ハイアットは新たに18ホテル、合計3251室をポートフォリオに加えた。また、開発中の客室数は前年同期比9%増の13万室を記録した。ハイアットは以前、2025年までに収益の80%以上を手数料収入により稼ぐ目標を立てている。今年度は11億ドル(約1633億円)から11億3000万ドル(約1678億円)の手数料収入を見込んでいる。 ■新しいアセットアロケーション戦略 ハイアットは近年、ブティックや高級ホテルの厳選されたコレクションへの直接予約アクセスを提供する予約プラットフォームのMr & Mrs Smith(ミスター&ミセス・スミス)の買収や、高級リゾート運営サービス、旅行、ホスピタリティ企業であるApple Leisure Group(アップル・レジャー・グループ)の買収など、企業買収にもますます力を入れている。 直近では、客室数1641室のハイアットリージェンシーオーランドと隣接する45エーカーの土地を、ブランドの長期運営契約を維持したまま、米国の不動産開発会社であるRIDA Development Corporationの系列会社に約10億7000万ドル(約1588億円)で売却。一方で、ホテルブランドのスタンダード・インターナショナルの物件21件に対して1億5000万ドル(約222億円)、さらにスタンダード・インターナショナルが開発中の新規プロジェクト30件の取得に1億8500万ドル(約274億円)、合計で3億3500万ドル(約497億円)の買収契約を締結した。同社はこうした取引により、所有する資産を売却し、よりアセットライトなプラットフォームに投資をするという新しいアセットアロケーション戦略を推進し、成長を加速させようとしている。