『デッドプール&ウルヴァリン』の敵はカサンドラ・ノヴァ? 予告に隠された驚きの小ネタ
デッドプールのMCUデビューをいざなうのはTVA
では、この予告編を振り返ってみましょう。大まかな流れとしては恋人、友人たちと幸せな時間を過ごしていたデッドプールことウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)が、突然TVA(時間変異取締局)に拘束され、彼らの命令(依頼)を受け新たな戦いに巻き込まれる。そしてその戦いの最中にウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)と出会う、というものです。 実は、この予告の冒頭がすごくよく考えられていると思います。つまり「恋人、友人たちと幸せな時間」の恋人・友人とは、映画『デッドプール』『デッドプール2』 の登場人物たちです。つまり、ここで描かれている世界は、両作が作られた20世紀フォックス(現・20世紀スタジオ)版の映画世界です。さらに恋人ヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)はちゃんと生きてますね。これは『デッドプール2』でのタイムトラベルによる歴史改変の成果です。 ところが、TVAは『ロキ』でもおなじみのマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に存在しています。 この『デッドプール&ウルヴァリン』は、ビジネス的なことでいうと、20世紀スタジオがMCUを展開するディズニー傘下になったため、“MCUとして作られるデッドプール映画”となります。しかしながら、旧20世紀版『デッドプール』2作の続編でもある。つまり旧20世紀版の世界とMCUを本作で融合させる必要があります。そこで物語的には、 ・旧20世紀版の世界とMCUはそもそもマルチバースの関係だった(このアイデアはすでに『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』や『マーベルズ』でも触れられています) ・したがってマルチバースを行き来できるTVAがデッドプールをMCUの世界に引き入れた ということになります。さらに、もともとデッドプールは前作『デッドプール2』でタイムトラベルのガジェットを手にいれ、さまざまな時間軸をいじくり、マルチバース間をひっかきまわしています。なによりも彼は“第四の壁を超える”という才能を使って、こうした事情をすべて理解できるわけです。この予告の冒頭はこれらすべてをうまく説明していますね。