『おしん』ノベライズ本がベストセラーに、J-POPがヒットチャートに登場…「憎くても学ぶべきことは学ぶべきだ」から、韓国が日本を見る目はどう変わったのか
〈一人用の座席があるラーメン屋を見て「韓国ではなかなかお目にかかれない」旅行者も驚く日本の“おひとりさま主義”〉 から続く 【写真】この記事の写真を見る(2枚) 2022年、日本の文化や社会についてまとめた本が韓国でヒットした。「日本という鏡を通して韓国を知る」ことを目的に書かれた本だ。 東京で18年間暮らしているメディア人類学者の金暻和さんによって書かれたその本は 『韓国は日本をどう見ているか メディア人類学者が読み解く日本社会』 (平凡社)というタイトルで日本でも刊行された。ここでは本書より一部を抜粋して紹介する。 敗戦からたった数十年の間に経済大国へと成長したかつての日本を、韓国はどんな目で見ていたのだろうか。そして、現在の日本をどう見ているのだろうか。(全4回の4回目/ 最初から読む ) ◆◆◆ 韓国が日本を見る目にはたいてい良からぬ感情がこもっている。日本帝国の植民地主義という暗い歴史のせいで、あるいは、外交的にも文化的にも競争意識が起こりやすい隣国同士ゆえ、そうならざるを得ないという側面もある。その一方で、「日本から学ぶべきことは学ぶべきだ」との意識が深く根づいているのも事実だ。だが、そういう認識も、もはや過去のものになったということを、最近とみに感じる。韓国社会が日本社会を見る目が変わりつつあるのだ。
「日本が憎くても学ぶべきことは学ぶべきだ」
日本では1960年代を「高度成長の時代」と呼ぶ。第二次世界大戦の惨憺たる敗北からわずか20年も経っていないその時期に、日本経済は目を見張る成長を遂げた。朝鮮半島で勃発した朝鮮戦争〔1950-53年〕による特需や、1964年の東京オリンピックを意識した景気浮揚策など、当時の国際情勢とも絡んだ複数の状況が、日本の経済発展を牽引したのだ。ただ、そうした時代背景をテコにアメリカ企業を脅かすほどに成長した、日本の製造業者の底力も侮れないものがあった。自動車や家電など、最先端の技術力を誇る製品の競争力が世界市場で認められ、日本は貿易大国へと跳躍した。戦争の廃墟から見事に再起し、たった数十年で経済先進国へと成長したのだ。 1980年代には、欧米屈指の企業がこぞって日本企業を「ベンチマーキング」の対象とした。アメリカの企業が柔軟な労働市場や分業による業務の合理化を重視していたのに対し、日本企業は終身雇用制を維持し、家族的な雰囲気で組織への忠誠心を引き出すなど、アメリカとは正反対の経営方針を堅持した。「オイルショック」による世界的な不況の中、この独特の戦略は「一人勝ち」した。めざましい経済成長に感嘆する一方で「日本人はエコノミックアニマルだ」という侮蔑的な言葉が欧米から出てきたのも、この時期だった。文化的に馴染みのないこの島国の快進撃が、欧米人の目には相当不可思議に映ったのだ。
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