フレキシブルウイング巡る論争が再燃。メルセデスに注目集まるも、今のところFIAは介入せず
motorsport.comの調べによると、FIAは最近F1で再び話題となっているフレキシブルウイングを巡る論争に介入する必要はないと考えているようだ。 【ギャラリー】2024年F1スペインGP:日曜日 最近メルセデスはフロントウイングの設計コンセプトを変更。最上段のフラップが一部紐のような細さになっていた特徴的なウイングから、見た目上はよりオーソドックスなウイングに変わった。 しかしこのウイングはオンボード映像で大きくたわむ様子が確認されている。そのため、一部チームはこうした行為に対して、正式に苦情を申し立てる用意があるのではないかとの憶測さえ流れている。その対象はメルセデスだけでなく、マクラーレンやレッドブルも含まれているようだ。 しかしFIAは各チームが採用しているデザインに納得しており、今のところ問題を調査するつもりはないようだ。 つまり、静止状態のマシンのウイングに荷重をかけ、変形度合いがレギュレーションに違反していないかをテストする柔軟性検査は、現在の厳しさが維持されるということだ。 FIAが各チームが行っていることを問題ないと認めた背景には、グランドエフェクトカーの空力バランスをよりよく管理する上で、ある程度の柔軟性をチームに容認しなければならないという現実があるようだ。 フェラーリのパフォーマンス・エンジニアであるジョック・クレアは、フレキシブルウイングの利点を生かすことは、マシンの他の重要な部分と同様に不可欠な設計要素だと語った。 「私の言っている意味がわかるなら、速くなるために(フレキシブルウイングが)必要なことなのは間違いない」とクレアは言う。 「ルールの範囲内で利用可能なものは何でも、我々は探求する。だから、フロントウイングでもリヤウイングでもフロアでも何でも、それは変わらない。ただの開発なんだ」 注目が集まっているメルセデスのトト・ウルフ代表は、誰もがグリッド上位を目指して限界に挑んでいると語った。 「フロントウイングが大きな役割を果たしているのは明らかだ」とウルフ代表は言う。 「エアロパーツの弾性は大きな役割を果たすが、フロアも同様だ。常にこれらの組み合わせだと思う」 「バナナのようにたわむフロントウイングがテストに合格しても、マシンの他の部分がその相互作用の中でうまく機能しないこともある。レギュレーションの範囲内で、誰もが限界に挑戦していると思う」 「この3レースで我々がやったことは、正しかったと思うし、大きな一歩を踏み出せたと思う。それ以来、すべての空力パーツが機能している。たぶん、ウイングやフロアなど、本来あるべきところとは反対のところにいたのだろう」 メルセデスのフレキシブルウイングの挙動についてレッドブルがFIAに問い合わせたという話もあったが、モータースポーツアドバイザーのヘルムート・マルコはこれを否定した。 マルコはmotorsport.comの取材に対し、次のように語った。 「我々は不満を言っているのではなく、ただ気付いただけだ。マシンがストレートで速くなったのなら、それがどこから来たのかはわかるはずだ。ただ、(FIAの)精査は通ったから問題なかった」 フレキシブルウイングはF1で過去に何度も問題とされてきた開発領域であり、レッドブルも過去に批判を受けたことがあるが、マルコはF1ではそれが普通のことだと考えている。 「それ(フレキシブルウイング)は常に問題であり、ほぼすべてのチームがどこかの段階でその影響を受けている」と彼は説明する。 「ある時は一部のチームが他のチームを批判する。またある時は遅れているチームが他のチームを非難し、自分たちにはそれがないと言う。これは普通の”ゲーム”だし、私がF1にいる間はいつもこんな感じなんだ」
Jonathan Noble