年齢よりも「若く見える人」「老けて見える人」は何が違うのか?「老化の個人差」を生み出すもの
---------- 年齢を聞いたときに「若いな」と感じる人もいれば、「老けているな」と感じる人もいる。この「老化の個人差」は、どこから生まれるのだろうか? 著書に『こうして、人は老いていく』がある理学療法士の上村理絵氏が、これまでたくさんの高齢者と接してきた経験をもとに、その原因を明らかにする。 ---------- 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ”
「見た目」よりも大事なものがある
同じ年齢だとしても、年齢を聞いたときに「この人若いな」と感じる人もいれば、「えっ意外と老けている……」と心のなかで思わずつぶやいてしまう人もいます。 この「老化の個人差」は、年をとってからのほうが、開いていくように感じています。 皆さんも、同窓会や久々の友人にあったときに「老化の個人差」を感じるようになったのは、年齢を重ねてからのほうが多いのではないでしょうか。 では、この「老化の個人差」を生み出しているものは、なんでしょうか。 見た目の問題? 確かにそれはあるかも知れませんが、たとえば加齢で髪の毛が薄くなってきた人は、外見的には、老けて見えるかも知れません。 しかし、そうであっても、同窓会などでむしろ髪が薄くなってきたことをネタにして笑いをとって、積極的にコミュニケーションを取っている方は、見た瞬間は「老けている」と思うかも知れませんが、接していくうちに、「この人若いな」と感じるのではないでしょうか。 逆に、元気がなく「最近、つまらない」「楽しいことがない」と後ろ向きのことばかり口にしている人は、老けて感じるのではないでしょうか。
100歳でも「若い」と言われる人の特徴
「老化の個人差」を生み出しているもの。それは「自分の存在を認め、自分は自分のままでいいと思えているか」どうかです。 心理学的な用語でいうと、「自己肯定感が高い」かどうかです。 自分の存在を認め、自分は自分のままでいいと思えているからこそ、見た目が多少老けていたとしても、明るく、元気に、前向きに若々しく振る舞えることができます。 私たちのデイサービス内でいつもおしゃべりの中心になっているのが、花村さん(仮)という100歳のおばあちゃんです。 さすがに年齢が年齢ですから、体のさまざまな機能は、ほかの利用者さんと比べても、やや衰えている感は否めません。 ただ、それでも、「変なおばあちゃんだと思って、仲良くしてくださいね」「もう、皆さんよりは老い先短いんだから、精一杯生きなきゃね」などと、自分ができないことや年齢を「自虐ネタ」にして、いつも笑いをとっています。 そのため「あんな風に年をとれたらいいわよね」「私より若いわ」などと20歳以上離れたご利用者からも、憧れのような存在になっています。 「どうせ年をとった自分なんて、他人には迷惑」などと、恐縮して殻に閉じこもることなく、周囲の人たちと積極的に交流を図る姿には、私たちスタッフから見ても、とても若々しいパワーを感じています。