【バスケ】「ウォリアーズに愛着を持ってほしい」 B2から再出発の信州ブレイブウォリアーズ 生え抜き三ツ井利也が目指す新戦力との“カルチャー”再構築
信州一筋9年目 葛藤乗り越え再出発
信州一筋9年目を迎える地元出身の三ツ井だが、昨季のインタビューではたびたび悩むような姿や葛藤する様子が見受けられた。シーズンが終了後には「チームの中での役割とかいろいろと考えたときに、もっとステップアップするためには何が必要なのか。それが僕自身のワークアウトもそうかもしれないし、環境なのかもしれないし。ということを含めて悩む、考えないといけないというのが正直な感想。改めて自分はどういう選手であるべきかというのを再確認したい」と語り、自身のキャリアやチームとの今後について悩んでいる姿があった。 「30歳という節目もあるので、そこで一度自分のバスケット観を見つめ直すとか、一度環境を変えてみるのも、もしかしたら選択肢としてはあるべきなのかなって思い始めた。節目だからこそ、そういうところも今までと違って、一回冷静になって考えないといけないかなと思います」 自身の役割が変化してきていることは三ツ井も感じていたことだろう。持ち前のディフェンスでは信頼を得ているものの、オフェンス面での役割が小さくなっていることは否めない。個人のスタッツで見ると、昨シーズンは59試合に出場し平均1.8得点と、平均得点ではキャリア最低を記録。自己最多の平均6.5得点を記録した17-18シーズンと比べると、シュート試投数は約3分の1にまで減っている。 「守備職人」以外のスタイルを模索していた三ツ井にとって、環境を変えることも選択肢の一つとなっていたはずだ。それでも信州と再契約を結び、B2からの再出発を支える決断をした。どのような思いでチームとの契約を決めたのだろうか。三ツ井は語る。 「大前提、降格して悔しい思いもありましたし、再昇格に向けてこのチームで、チームの一員として成し遂げたいという気持ちはありました。あったんですけど、オファーとかも含めていろいろとチームと話した段階で、僕の今後やっていきたいことと、チームからのオファーが少しずれていた部分があったというのが本音です。そこを上手く整理する時間が欲しかったので、今まで以上に考える時間をもらって、その分発表が遅くなったというのが経緯としてありました。ですが今は、自分が今年やるべきこととか、もっと良くなれる部分にフォーカスして、トレーニングやバスケットのところも励んでいる感じです」 チームからの「オファーのずれ」とは何かを訪ねると、三ツ井は「難しいな」と一呼吸を置き、こう答えた。 「『今シーズンはこういうことにチャレンジしたい』という気持ちとかもちゃんと伝えさせてもらったんですけど、来シーズンの起用法であったり、『こういうことをやってほしい』と言われたときに、なにか腑に落ちなかったと言ったらあれですけど。『もっと自分はやれるのにな』って思ってしまったところがあったので、少しネガティブになってしまったというか。『それぐらいしか求められていないんだな』と思ってしまった。本当にチームがそう思ったかは分からないですけど、そのようなことがあって僕自身がショックを受けてしまった。ただ、それは僕が招いた結果だったので、まずそれを整理する時間が欲しかったというのが正直な感想です」 チームとしっかりと向き合い、それでも再契約を決めた。三ツ井の表情からは、自身の葛藤を乗り越え、大きな決意と覚悟を持ってシーズンに臨むという気合が伝わってきた。