千葉・富津市が財政破綻の恐れ 破綻したらどうなるの? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
破綻したらどんな対応を迫られる?
実際に自治体が破綻したら、どのような対応が迫られるのでしょうか。現状のところ夕張市だけなので、そこで何が起こったかを中心にみてみましょう。 まずは借金を返済しなければなりません。もともと収入が低迷しているという前提があるので、そこの増加は増税や負担増ぐらいしかないのが実情です。切り札になる企業誘致も産業の空洞化でままなりません。そもそも資金のない自治体に工場などを作るメリットが会社側にないというのも痛いところです。後は値上げに次ぐ値上げ。市民税や都道府県民税、固定資産税、軽自動車の増税、入湯税の新設、下水道料金や保育料のアップ、市営バス料金上げ、ごみ収集の有料化、介護保険料の増など取れるところから片端に取っていくしか方法がありません。 第三セクターの借金処理も悩ましいところ。つぶせばいいという簡単な話ではないからです。下手に整理すると債権者から「金返せ」の大合唱となり、それに見合う収入が自治体にないというジレンマを抱えます。
公共サービスはどれくらい削られる?
収入を増やす一方で支出をトコトン削らなければならないのも事実です。夕張市や財政健全化団体に一時陥った自治体のケースはおおよそ次のようです。 まず、市職員や市議会議員のの給与削減や人減らしは当然のように行われます。市の仕事そのものが減るわけではないので、職員一人あたりにかかる負担が大きくなり、言い換えると住民サービスが低下します。 自治体は住民の身の回りに必要なサービスを担っていて、代表的なのが病院と小中学校です。市立病院はベッド数減や産婦人科など採算性の低い診療科の休止、あるいは民営化や診療所への転換を迫られ、夕張市は小中学校がそれぞれ1つしかなくなりました。市立図書館・市民会館・市民体育館などは閉鎖されるか市民団体による運営に委ねるしかなく、公衆便所も激減します。公共事業打ち切りによる失業も起きます。道路補修のお金もありません。
財政破綻の“予備軍”はゼロ?
総務省は2014年9月、財政破綻の心配がある地方自治体が2013年度にゼロになったと発表しました。全国で唯一、破綻懸念のあった大阪府泉佐野市が健全化したからですが、一方で富津市のようなケースも出てきています。今は取りあえず大丈夫でも18年には財政再生団体に転落しかねないとの試算からの公表でした。