【サッカー日本代表 板倉滉の「やるよ、俺は!」】第14回 サムライブルーの食卓とその裏側
自身の体を駆使して闘うアスリートたち。連戦でフル出場が続くと体重と食欲が激減するという板倉にとって、細かい気配りがされた〝代表飯〟はまさに命綱。その中身とは――。 【写真】板倉滉が語る 日本代表の食卓 ■「食」を支えプロフェッショナル コンディショニングはアスリートの務め、という話を以前の連載でしたことがある。もちろん、プロとしてコンディショニングを自ら行なうことは大前提。 でも、僕ら選手は決してひとりで闘っているわけではなく、各方面のプロのサポートがあって、初めて成り立っている。「腹が減っては戦はできぬ」とよく言うが、まさにそのとおり。 体を駆使して闘う、アスリートにとって食はまさに生命線だ。日本代表ともなると食に関してもプロの方々が徹底的にサポートしてくれている。日本代表の「食」といえば、真っ先に名前が思い浮かぶのは西芳照シェフだろう。 2004年のW杯ドイツ大会のアジア地区予選以来、日本代表を支えてくださった。西さんは、ビュッフェテーブルの片隅にコンロを並べ、選手たちから注文を聞いて、その場で肉を焼いたり、パスタやうどんなどをゆでるといった調理法「ライブクッキング」を日本代表に導入したという。そんな一流の料理と楽しみを提供してくれた西さんの影響は大きい。 今回のアジア杯の専属シェフは平田太圭龍さんと知花仙さんのふたり。初帯同となった平田さんも、ライブクッキングを凝ったものにして導入してくれた。 炭を敷いて、その上に網を乗せて肉を焼く〝炭火焼き〟を提供してくれたのだ。というのも、開催国のカタールはイスラム教の国で、食事の戒律が非常に厳しい。豚肉はエキスが入った調味料に至るまですべてがNG。 そんな特殊な状況の中、平田さんたちは食事のバラエティが少なくならないようにと、牛ステーキや鶏のもも焼き、そして牛タンの炭火焼きを提供してくれたのだ。イレギュラーへの対応力には驚きしかない。 ほかにも、僕は連戦の疲労が重なっていたこともあり、食べやすく消化に良い食事を取るべく、メニューになかったうどんを特別に作ってくれたこともある。とにかく、選手が効率的にエネルギーをチャージできるようにさまざまな工夫をしてくれているのだ。本当にありがたい限りだ。