ハクサイ消費拡大へ 1週間鍋づくしも提案 生育前進で産地
ハクサイの主産地が今冬、スーパーでの試食宣伝を全国各地で展開し、消費を喚起している。暖かい日が多く生育が進み、出回り量が例年以上に多い。鍋物需要を盛り上げるため、JA全農いばらきなどは「1週間鍋づくし」と題して多彩なメニューを提案。家庭での消費を呼びかける。 【画像】JA全農いばらきが企画した「1週間鍋づくし」日替わりメニュー ハクサイの消費拡大へ、全農いばらきは「1週間鍋づくし」と題し、水炊きやキムチ鍋、トマト鍋、刺し身しゃぶしゃぶなど7種類のメニューを考案。昨年までは難しかったスーパーでの試食販売を再開し、11、12月は連日、全国各地で実施する。全農いばらきは「時間をかけずにたくさん消費できる鍋を、曜日ごとに異なる味で楽しんでほしい」と、消費拡大を呼びかける。 主産地のJA常総ひかりは11日、東京都中央卸売市場大田市場でトップセールスを実施した。堤隆組合長は、生産費上昇に悩む産地の声を伝え、「安全で安心な青果物の安定供給が危ぶまれている」と、切実に訴えた。 秋冬ハクサイは近年、11、12月にかけて低迷が続く。12月上旬の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は1キロ44円。過去3年(2020~22年)平均は上回ったが、新型コロナ感染拡大前の17~19年平均比は3割安をつけた。 11月下旬、12月上旬の7卸取引量は、豊作だった20~22年平均をも上回った。同JAは「日中が暖かく、遅れていた分の増量と、もっと先に収穫を予定していた分の前進が重なり、出荷が集中した」と話す。 京浜市場は、直近では1ケース(4玉・13キロ)の中値が約400円。産地が想定する本年の再生産価格(650円)との開きは大きい。相場回復に向け県内の主産地は、12月では3年連続となる出荷調整を、中旬に実施する。 東京の青果卸は「コロナ禍で落ち込んでいた忘年会需要が、本年は回復が見込める」とみる。家庭の内外で、鍋物を中心にハクサイの需要喚起が進む見通しだ。(橋本陽平)
日本農業新聞