「まつもと、景の声」上演へ 松本で暮らす人々の記憶や思いを集めて作品に
2025年2月8日・9日にまつもと市民芸術館(松本市深志3)オープンスペースで上演される芝居「まつもと、景の声」の作品づくりが現在、進められている。(松本経済新聞) 松本で暮らす人々にインタビューを行い、日々の生活で感じていることや見てきた景色などさまざまな声を集めて一つの物語に編集して上演する。出演は劇団「シアターランポン」の下地尚子さん、「渋さ知らズオーケストラ」の玉井夕海さんほか。企画制作する「すずめの会」のメンバーで構成・演出を担当する藤原佳奈さんは「プロジェクトに関心がある人と一緒に、集めた声や言葉をさまざまな形で表現していきたい」と話す。 まつもと市民芸術館が昨年度から公募を始めたシアターパークの活用企画の一つ。藤原さんがもともと面識のあった下地さんと話したことがきっかけで、「松本の街」に焦点を当てた企画が始まった。藤原さんは「空間の活用を公募することから、劇場が開いていくようなイメージを抱いた。地域の人々の日常、記録に残らないような声から、街の風景を再編集してみたいと考えた」と振り返る。 制作は取材やインタビューを中心に進め、並行してリサーチの様子やプロジェクトの進捗(しんちょく)を報告する「ご飯会」も定期的に開催。11月11日、コミュニティスペース「出居番丸西」(城東1)で初回が行われた。 当日は、長く松本で暮らす人、実家が松本にある人、移住してきた人、信大生など20代から70代まで幅広い年代の12人が参加。初回ということもあり、昔の松本の様子や移り変わりをテーマに話し合った。百貨店の屋上にあった遊園地や、映画館、書店、レコード店など昭和時代の風景には、懐かしむ声と驚く声が重なった。「街」と呼ばれるエリアと駅前の比較や、商店街の今と昔、学生のたまり場などについての話も。1人の話に皆が耳を傾けたり、数人のグループで会話したりと、和やかな雰囲気で進行した。 今後は、12月2日、来年1月6日に「ご飯会」を開くほか、街歩きも行う予定。「誰でも気軽に参加できるような場を設けていきたい」と藤原さん。「すずめの会」の名称は、長野県の地域性を表す「松本のスズメ、諏訪のトンビ、上田のカラス」から取ったという。スズメは、いろいろな人がさまざまな意見を言ってまとまりがつかない、という意味だというが、「地域に埋もれている記憶や、表に出ずに隠れている声など、まずはどんなことでも聞いていきたい」とも。
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