退職で確定拠出年金は移換、それとも受け取るべき? 受け取るなら一時金、それとも年金がよいの?
退職前に考えておきたいことの1つは、確定拠出年金(以下、企業型DC)の今後の取り扱いです。企業型DCの受取方法は、ご自身のライフプランや税金など、多くのことを考慮に入れた上で決めなければなりません。 では、どんな点に気を付けて決めればよいのでしょうか? 本記事で具体的なポイントを解説します。
退職時の企業型DC取り扱いの選択肢は?
現役時代に企業が掛け金を拠出し、従業員が運用していた企業型DCの退職時の取り扱いは、主に次の選択肢があります。 1. 転職先の確定給付企業年金(DB)に移管する 2. 通算企業年金に移管する 3. iDeCo(個人型確定拠出年金)に移管する 4. 企業型DCを一時金もしくは年金として受け取る。またはそれらの併用 大きく分けて1~3は企業型DCを別の受け皿に移管する方法、4は移換せずに現金化する方法です。このうち、1は再就職してそもそも転職先に企業型DBがある場合に限られますので、残りの3つ(2~4)の選択肢について比較してみます。
通算企業年金とiDeCo、何が違うの?
それでは、2.通算企業年金と3.iDeCoのそれぞれについて見てみましょう。この2つは老後に年金を受け取れる、という点では同じですが、違いも多いため注意が必要です。 通算企業年金とは、企業年金連合会が運営する企業年金からの脱退金を預かり、原則65歳から生涯にわたって受給者へ年金として支給する制度です。 主な特徴としては、 1. 移管後、自分で掛け金を積み立てることはできない 2. 運用は企業年金連合会が行う 3. 原則、移管時の年齢に応じてあらかじめ決められた予定利率(令和4年5月1日以降加入の60歳の方の場合年0.75%(※1))に基づいて将来の年金額が決まる 4. 終身年金(生涯にわたって受け取れる)である 5. 病気や災害など特別な理由に限り、原則65歳以降に一時金として受け取ることができる(保証期間は満80歳まで) などです。 一方iDeCoは、 1. 自分で掛け金を積み立てることができる 2. 運用は自分で行う(金融機関が用意した商品ラインアップの中から自由に組み合わせる) 3. 将来いくら受け取るかは自分の運用成績によって変わる 4. 原則60歳に達したら5年以上20年以下の期間から年金受取期間を選択する 5. 年金、一時金、または併用を(特別な理由がなくとも)決められるなど、通算企業年金とは大きく異なります。 となっており、似て非なる制度であることが分かります。