【箱根駅伝】箱根→五輪の道は確立 28年ロス五輪見据えて走る箱根ランナーたち/連載3
<101回目のプロローグ(3)> 101回目を迎える東京箱根間往復大学駅伝競走(来年1月2、3日)まで1週間を切った。見どころを「101回目のプロローグ」と題し、全6回連載で紹介。第3回は「箱根から世界へ」の現在地は-。 ◇ ◇ ◇ 100回の歴史を刻んだ箱根駅伝。これまで10種目、88人の夏季五輪代表を輩出した。出場権獲得数は133(イラスト参照:箱根経験者の五輪種目別出場権獲得数)。今夏のパリ大会には7人が名を連ね、今春順大を卒業した三浦龍司(22=現SUBARU)が3000メートル障害で2大会連続入賞した。「箱根は通過点であり、きっかけ。1つのシミュレーションになった」と振り返る。 「箱根→五輪」の道は確立された。52年ヘルシンキ大会以降、“箱根組”が出場を逃した大会はゼロ。かつてリレーや競歩に出場した事例もあるが、96年アトランタ大会以降は中長距離4種目に限られる。1920年アントワープ大会から数え、出場権を最も獲得した種目はマラソンで45回。次いで1万メートルで29回、5000メートルで20回、3000メートル障害19回と続く。20キロ前後でしのぎを削る学生は、特性を生かす中長距離へ自然と進む。 国内バトルも箱根組がけん引する。各種目日本歴代上位10人のうち、マラソン、1万メートル、3000メートル障害は9人が箱根組。5000メートルでも7人が占める(イラスト参照:男子マラソン日本歴代10傑など)。国内の中長距離界では1歩抜きんでている。 3000メートル障害日本記録保持者の三浦は“二足のわらじ”をはく。シーズン序盤はトラック種目、後半は駅伝に専念。「毎年切り替えるのが大変」と笑うが、利点の方が多い。「冬季に距離を踏むことで、タメを作れる」。冬は連日の30キロ走をこなし、スタミナを積む。トラック種目で世界と戦う土台になるという。 箱根ランナーたちは28年ロサンゼルス五輪を見据える。今春城西大を卒業した「山の妖精」山本唯翔(23=現SUBARU)もその1人。5区を3度担い、3年時から2年連続区間新記録を更新した。マラソンで五輪出場を狙うが「登りも平地も延長線上。大学時代の練習が生きる」。山区間で築いた馬力を発揮する。 101回大会には青学大の太田蒼生(4年)、駒大の佐藤圭汰(3年)ら五輪を目指す選手が参戦。世界へ羽ばたくのは誰か。3年後を描きながらレースを楽しみたい。【飯岡大暉】