来春に“限定”ライドシェア導入か その中身とは?【WBS】
一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶ「ライドシェア」をめぐり、政府が地域を限定し、タクシー会社が運行を管理するなどの条件付きで来年春にも導入することを軸に調整に入ったことが分かりました。 「東京駅八重洲口のタクシー乗り場に来ています。ご覧のように2列に渡ってタクシーを待つ人が並んでいます。ただ、タクシーは1台も止まっていません」(藤井由依キャスター) タクシーの運転手不足が起きている中、政府が検討を進めているのがライドシェアの解禁です。その細かなルールを巡る駆け引きが最終盤を迎えています。 日本で客を有料で運ぶには、原則「二種免許」と言われる専用免許が必要で、タクシー車両で行い、運行管理もタクシー会社が担います。それに対してライドシェアは、一般のドライバーが自家用車で運ぶことなどを指します。 日本でのライドシェア解禁に期待する思いがあふれる企業も。
「東京メトロ霞ケ関駅です。国土交通省の建物へとつながる改札口ですが、目立つように掲げられているのがウーバーのポスターです。誰もが目にするところにも掲載されています」(宮下祐佳里記者) 地下鉄の改札からライドシェア解禁議論を所管する国土交通省に繋がる出口まで9枚も広告が掲載されていました。ライドシェアでは世界最大手のウーバーですが、日本ではタクシーの配車事業を行っています。そのためポスターには「日本のタクシー業界の発展に貢献します」と書かれています。 ウーバージャパンの今井久美子さんは「日本でタクシー業界の皆さまと連携を強めていきたい。業界の発展に貢献していきたいという思いを伝えたいので、この広告を出稿している」と話します。 ただ、霞ケ関駅全体のポスターの数を先月7倍にしたウーバー。ライドシェア解禁の議論が佳境を迎える中、日本での存在感を高めたいのでしょうか? 「モビリティ業界とタクシー業界に関わる人たちが多く行き交う場所という意味で、ここが適切な場所。日本で解禁された場合は日本での参入を検討することになる。私たちとしては海外で得た知見や事例などを提供することでより良い議論になるように貢献できれば」(ウーバージャパンの今井さん) 永田町の動きも活発になってきています。 「精力的に迅速に提言案をまとめる段階まで来た」(ライドシェアの超党派勉強会の小泉進次郎会長) ライドシェアを議論する超党派の勉強会は12日、関連法の改正などを来年中にも行うよう求める提言をまとめました。二種免許取得の要件緩和に加え、ウーバーなどを念頭に、タクシー会社以外の事業者が参入できるような法整備を求めています。 「日本の中のプラットフォーマーの育成、参入も含めて考えていかないといけない。新たな要件を満たした事業者が参入できるように制度設計はすべきだ」(小泉会長) 一方こうした動きに慎重な姿勢を見せるのは、全国知事会です。 「緊急に、今の全国の動向や状況を斉藤大臣などに理解していただく。きょうはそういうことで乗り込んできた」(全国知事会副会長の平井伸治鳥取県知事) 平井知事が向かった先は、国土交通省です。知事会は都市部と地方の交通空白地を分けて、制度のあり方を検討すべきだとする要望を提出。都市部では、安全性などの観点からタクシー業者が運行管理する仕組みを求めています。 「(ライドシェアは)タクシー、ハイヤー業界にとって命取りにならないかという不安がある」(平井知事) 要望を渡した手応えについては「概ね私たち地方の意見を取り入れていく方向ではないか。比較的良い感触をいただけた」といいます。 それぞれの思いが交錯する中、ライドシェアについて政府が検討している案がわかりました。 政府が検討する案は、タクシー会社の管理のもと、地域を限定して一般のドライバーが自家用車で有料で人を運ぶ新たな制度。これを来年春に始めることを目指すものです。一方、タクシー会社以外の事業者の参入は、結論が持ち越されることになりそうです。 政府は20日にもこうした制度の大枠を発表する見通しです。 ※ワールドビジネスサテライト