ブラジルで活躍する日系企業の今(23)=現地密着の南米旅情報で勝負するH.I.S.サンパウロ支店
インテリジェンスが生き残りのキーワード
2023年10月現在、H.I.S.は世界58カ国113都市に162拠点、日本国内に134拠点のネットワークを活かし、ツアーの紹介と手配を行っている。ブラジルでは日本人駐在員や日本人観光客に向けて、ブラジル国内ほか南米各国の王道観光をパッケージツアーやオプションで実施している。 また、週末だけのサンパウロ近郊のバスツアーもお客様からの要望に合わせて実施している。ブラジル人向けのサービスは、ジャパンレールパスの販売から始め、近年は3月から4月にかけての「桜ツアー」やレジャー施設のチケット販売など、訪日外国人に喜ばれるプランも打ち出している。 インターネットの普及や航空券販売のビジネスモデルが変化し、コロナ禍の到来によって、オンラインによるスマート化したビジネスモデルが旅行業界でも一般的となった。 「旅行社も淘汰される時代ですが、旅行に必要な“情報”の意味には“インフォメーション”と“インテリジェンス”があります。インターネットで得られるインフォメーションだけでなく、現地に行かなければ分からないインテリジェンスが同社設立以来の強みです」と荒井氏は話す。現地に密着した南米の旅情報やサンパウロ生活のプラスアルファな情報を盛り込んだ季刊誌『Vamos!』も年に4回発行されている。
コロナ禍で人気上昇「TAKOYAKI8(たこやきエイト)」
H.I.S.が設立されてから44年間で、湾岸戦争や米国同時多発テロ事件など旅行業界にショックを与えた事柄の中でも、コロナ禍は過去を凌駕するものだった。今後も起こり得る危機や時代の変化で生き抜くために、サンパウロでは2019年にリベルダーデ地区に『TAKOYAKI8』をオープンし、コロナ禍ではテイクアウトやiフードで好評を得たことから、昨年10月にはベラ・ビスタ地区にも2号店をオープンした。 昨年9月30日からは、日伯間で90日を超えない滞在での訪問を目的とした一般旅券を所持する者に対して、ビザが相互免除された。日本へ行きやすくなり、さらに多くのブラジル人が日本旅行をすることが見込まれる中、同社は「心躍る」を大切にした旅をサポートする。(取材/大浦智子)
★H.I.S.サンパウロ支店の概要
正式名称:H.I.S. Brasil Turismo LTDA./所在地:サンパウロ市/設立年月:2010年/従業員数23人/事業内容:旅行業/サイト:https://his-brasil.com.br/jpn/