新型コロナ、春になれば消える感染症では「おそらくない」 専門家が指摘
日本野球機構(NPB)と日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)による新型コロナウイルス対策連絡会議の後に開かれた9日の合同会見には、公式戦開催に向けた助言を行う専門家チームも同席し、ウイルスの特徴や今後の見通しについて言及する場面があった。 【動画】プロ野球とJリーグの公式戦「開催延期が望ましい」 新型コロナ対策で専門家が提言
ウイルス「環境の中で48時間生存の報告も」
感染症の研究者による専門家チームは、東北医科薬科大の賀来満夫特任教授、愛知医科大学の三鴨廣繁教授、東邦大学の舘田一博教授の3氏が名を連ね、この日の対策会議では、18日に再開予定のJリーグ、20日に開幕予定のプロ野球の公式戦について、「延期が望ましい」との提言をした。 座長を務める賀来氏は「現段階で、さらに感染者が増加している状況がある。感染患者の増加が抑制できるか見通しが立っていない」と延期を助言した背景を説明した。 政府の対策基本方針が先月25日に公表され、その後、安倍晋三首相が大規模イベントの自粛や全国の学校に一斉休校を要請するなど、新型インフルエンザの感染拡大防止に向けた対策が取られている最中だが、「現段階でこれ(の成果)を評価するのは非常に難しい」と述べ、3月15日、あるいは3月末まで待つべきだとした。 三鴨氏は、このウイルスの特性について「研究によると、48時間は環境の中でウイルスが生存することが報告されている」と指摘。「飛沫感染がクローズアップされているが、接触感染が極めて重要なファクター」だと述べ、接触感染への対策として、不特定多数の観客が訪れるスタジアムのトイレや客席をしっかり清掃するなどの提案をした。
舘田氏は、新型コロナウイルスの今後の見通しについて「インフルエンザのように暖かくなれば消えていく感染症では、おそらくない」と語り、「しばらくの間、数か月なのか半年なのか1年なのか、あるいはもう少し続くのか、というようなタイムスパンで考えていく必要がある。いかに賢く対策を計画して対応を取っていけるかが試されている」と春には収束するという楽観論にくぎを刺した。 試合の開催に向けて、賀来氏は、選手への健康管理体制や観客へのスタジアムの環境整備、体温が37.5度以上の人は入場を断るといった入場チェック体制の構築などが必要だとして、「観客の感染リスクは、なかなかゼロにするのは難しいが、できるだけゼロに下げていく対応を取っていただきたい」とNPBとJリーグに求めた。