松たか子、「ロンバケ」出演が一つの分岐点に!「自分の考えだけで決まるものではないんだな」
また劇中、元担当編集だった星野源演じる作家・百目鬼見(もめきけん)とのやり取りも見どころだ。百目鬼はやや面倒な作家として、葉子の手を焼かせる。「星野さんとは年末に他局の”某アワード”でご一緒していたのですが、お芝居は初めて。作品を観ていただければわかると思いますが、すごく会話のテンポが弾むというか、演じていて楽しかったです。野木さんのドラマにたくさん出演していて、テンポ感やムードが分かっていらっしゃるんでしょうね。ついて行けばいいという安心感がありました」
松が本作に出演する際「ぜひ」と脚本を読む前から前向きだったのが、演出を務める土井の存在。第54回ギャラクシー賞テレビ部門の優秀賞など数々の賞を受賞した「カルテット」で作品を共にした監督だ。
松は「土井さんの卒業制作的な意味合いもある作品だったので、お声を掛けていただけてすごく嬉しかった。その気持ちで本を待っていたんです」とオファーを受けたときのことを振り返り、「土井さんは多分、心の底では絶対『こうしてほしいんだけどな』という思いを抱えているはずなのですが、そういう素振りを一ミリも出さない。ずっと見守ってくださるんです」と特徴を挙げる。
一方で「何も言わないのではなく、どこかで誰も傷つけずに気づきを与えてくれるんです。それは俳優だけではなくスタッフさんも一緒」と称賛を続けると「多くのことを与えてくださるなか、ご自分もスタッフさんや現場でいろいろなことを吸収している。いろいろな人のエネルギーをご自分にも取り入れる柔軟さみたいなものを今回の現場では感じました」と語っていた。
作品では、葉子、都子、潮の三人に分岐点が訪れる。松にとっての分岐点を問うと「いろいろありますが、いまパッと思い浮かぶのは、初めて連続ドラマに出演させていただいた『ロングバケーション』(※1996年にフジテレビ月曜9時枠で放送)という作品ですかね」と切り出すと「ちょうど大学生になったばかり。19歳ぐらいのとき。もともと舞台をやりたくてこのお仕事の世界に入ったので、連続ドラマのお話に迷いがあったんです。でも『一つのチャンスかも』と周囲の方に助言していただき出演したことで、新たな道が開けました」とターニングポイントの一つになったという。